減災ライフラインの安心安全のために

ライフラインの安心安全のために

ライフラインの安心安全のために

東日本大震災では津波による被害が印象的でしたが、千葉県や茨城県などの関東地方北東部では、利根川沿いの低地を中心として液状化被害が顕著でした。

南海トラフ巨大地震では、津波や地震による建物倒壊と同様に、液状化の被害も心配されていますが、では、それはどのような場所で発生し得るのでしょうか?また、水道管やガス管といった地中埋設物は、地上にあるインフラよりもより液状化の影響を受けやすいといえます。そこで、東日本大震災時に千葉県北東部の香取市で発生した液状化被害に着目し、特に河川沿岸の旧市街地において発生した水道管の被害(継手部の抜け出し)に着目しました。

GIS(地理情報システム)上に水道管の被害位置をプロットしてみたところ、そのほとんどが明治時代は川の中に該当し、その後浚渫土で埋め立てをしたエリアに集中していることがわかりました。また一方で、ボーリングデータからわかるN値(地盤の硬軟度を表す)を同様に地図化して重ねても、概ねN値の小さい(地盤の柔らかい)地域に被害箇所の多くが分布していました。 そこで、明治時代の過去の地形と、ボーリングデータから得られるN値の二つを説明変数とし、実際に水道管の被害があったかなかったかを目的変数として判別予測を行ってみたところ、9割近いメッシュにおいて、被害の有無を予測することができました。また、過去の地形の影響度が非常に高いこともわかりました。 以上のことから、被害を予測する上では過去の地形を知ることがとても重要であることに気づかされました。

さらに、南海トラフ巨大地震によって、香取市と同様の被害が濃尾地域にもたらされると仮定し、愛知県のデータに対して香取市での分析から得られた判別予測式を適用したところ、木曽川の左岸にあたる江南市、一宮市、稲沢市、愛西市などで被害が予測されるメッシュが多数抽出されました。もっとも、東日本大震災時の被害様相をそのままこの地域にあてはめたものなので、この通りになるとの確証はありませんが、河川流域の被害という見方をした場合、周辺部と比較して危険度が高いことが推測されます。 最新の科学的な知見を駆使した被害想定ももちろん重要ですが、過去の経験に学ぶことも同じくらい大事なことと思います。

ハザードマップ

開閉栓システム(被災時の復旧支援システム、問い合わせ削減)

巨大災害が発生すると、我々の生活を支えるライフラインがストップしますが、電気や水道と比較しても、都市ガスの復旧には多くの時間を要します。これは、都市ガスの供給再開が、管路からのガス漏れがないことが確認されてからとなることによりますが、その復旧プロセスの中で、特に多くの時間と手間を要するのが、全需要家を訪問して行う閉栓・開栓作業です。

東日本大震災当時、この作業は人海戦術で行われており、一件一件のお客様宅の状態を紙の帳票で管理し、現場での作業用の地図も紙地図を使用していたため、たくさんのコピー機と用紙が必要でした。また、作業を行った結果を毎日本部の情報端末で管理するため、膨大な入力作業が必要でした。また、お客様から都市ガスの供給再開時期などに関する問い合わせの電話がガス会社に集中し、仙台市ガス局の例では最も多い日で約57,000件の電話があったと言われています。このことは、ただでさえ殺伐とした状況の現場に更なる混乱をもたらし、復旧を遅らせる原因にもなりかねません。

そこで私たちは、復旧作業を少しでも効率化し、一日も早い都市ガスの復旧に貢献するため、「開閉栓支援システム」の企画・開発を進めています。 このシステムは、これまで紙ベースで行っていた作業をモバイル端末とネットワークで代替することで、現場情報の入力の手間を大幅に削減し、復旧までにかかる時間を短縮しようというものです。また、現場情報をGIS上に表示することで、よその地域から復旧応援に来た土地勘のない作業者でも現場に到達しやすくしたり、地域ごとに作業の進捗をリアルタイムに把握できるといったメリットもあります。

さらには、復旧の状況や供給開始予定のエリアなどをインターネットの地図上に公開させることで、多くのお客様に復旧の現状をお伝えし、問い合わせの電話を削減するといった効果も期待できます。ライフラインの一日も早い復旧のため、我々には何ができるのか?これまでの経験や、そこから得られた知恵、さらには最新の技術を結集して、この要求に応えていきたいと思います。

土木構造物の調査・点検支援

わが国の土木構造物は、戦後の高度経済成長に作られたものが多く、使用開始後50年以上の時間が経過しているものも多数あります。 社会インフラの被害は、巨大災害によるものだけではありません。2012年に発生した笹子トンネルの事故などは構造物の老朽化によって引き起こされたものであり、このような事故を未然に防止するには、綿密な点検を日頃から怠らないことが必要です。またそうすることで、同時に巨大災害による被害からも構造物を守ることにつながります。

このようなニーズにお応えすべく、私たちは「点検支援ソリューション」というサービス、および製品を展開しております。これは、構造物の点検作業を確実、かつ効率的に行うことを支援するものです。モバイルなど最新のITツールの活用はもとより、有益なデータ収集、整理の方法等も含めて提案をいたします。また将来的には、センサーデータ等の活用も視野に入れております。防災・減災と並行して土木構造物の老朽化にも着目し、より一層安全な社会の実現に貢献していきます。


パンフレット


 

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