Theプロフェッショナル生産技術を鍛える鬼コーチ 技術戦略推進室

技術戦略推進室 松野室長
技術戦略推進室
松野室長

当社には、NPS-LABOという場所があります。

ここは、NPS(Nakasha Profit System)の基本的な考え方『全ての生産工程から問題点を特定し改善する』に基づき、お客様の業務を、お客様と共に検証し、解決のための実証実験の場となっています。
全社技術部門とNNS(南京市の当社工場)を横断する”グローバル生産”を進めるにあたり、NPS教育による人財育成と、新たなNPSツールの本格導入前の実証実験等を行っています。

今回は、 技術戦略推進室の松野さんから、 NPS-LABOで使ったツールや活動を紹介します。

【Theプロフェッショナル】生産技術を鍛える鬼コーチ

技術者から鬼コーチに

Q:松野さんの技術者としての経歴を教えてください

入社後、六番町カラーメディアでオフセット印刷・製版に5年従事し、師匠・弟子関係で"技術は目で見て盗め"的な職人の仕事の教えられ方で、インクまみれの修業をしていました。
その後、パネル設置、シルクスクリーン印刷の担当となり、西村師匠の元でさらに修業しました。
いつしか印刷系の業務が下火になり、当時東工場と呼ばれていた東館に異動し、大型カメラ、6mプリンターなどPDS・CDSのフィルム作成や第二原図作成に従事しました。

Q:アナログ関連の技術者からスタートしたのですね。生産管理に興味を持ち始めたきっかけは何ですか?

当時、文化財のレプリカは、原本を大型カメラで撮影・カラー分解し、オフセット印刷をしていましたが、その頃DTPが主流となり、当社もスキャナーやパソコンで版下を作るデジタル試行を始めました。なぜか大型カメラをやっていた私がデジタルレプリカ製作の担当者となりました。
このころ"ものづくり委員会"などで改善活動が盛んであったと記憶しています。
レプリカのデジタル化が落ち着いた頃デジタルアーカイブ事業が始まり、緊急雇用創出事業等により古文書や古地図・古絵図等のデジタル化予算が多く付いたため、その担当として、大量のワーカー管理をするようになってきました。(大量といっても最大でも20名程度でしたが。)

Q:当時の会社規模としては相当な人数ですね。管理者になってみて、何か感じたこと、気付いた点はありますか?

電力部での2回目の移管プロジェクトにお声がかかり、プロジェクトに参画しました。
ここで、入社して初めて"生産管理とは?"、"管理者とは?"といったことを感じました。
このプロジェクトで組織運営や生産管理の基礎的な事を学び、学んだ事を実践していきました。すでに会社ではものづくり委員会からNPSへと進化していましたが、正直、プロジェクトでの経験が無ければNPSは単なる「改善」としか捉えていなかったと思います。
その後は長尾技術統括役員のもと、技術部でのNPS推進担当からグローバル推進担当となり、今に至っています。

技術戦略推進室 松野室長

Q:生産管理者の目線で、大型プロジェクトの構築経験を紹介してください

初回の移管プロジェクトを立ち上げた長尾役員(現技術統括役員)から「構築には戦略、戦術と後方支援が大切だ」と伝授して頂きました。
特に後方支援は現場ではあまり考えられておらず目の前の仕事ばかりに目を向けてしまう。しかし、どんな強い軍隊も援軍や物資の供給が遅れればあっさり負けてしまう。勝つための条件を揃える事も必要だと教えられました。

Q:面白いですね。その戦術はどのように現在に活用されていますか?

インフラ供給として場所・道具・人財といった"マテリアル"を後方支援し、それをタイミングを逸しないように(ジャストインタイム)しています。
大きな組織になるに従い、役割と役割に応じた責任の明確化が重要で、「管理者の仕事は異常の発見と是正」といったNPS思想に基づく考え方を学んでいたため、人財育成(ひとづくり)も後方支援としての要素としてプロジェクト構築時に心がけていました。

分散拠点での生産を同期化するNPSツール

Q:当社のNPS(Nakasha Profit System)の源流は「TPS(TOYOTA Production System)」とのことですが、TPSとの出会いについて教えてください。

後から気付いたことですが、TPSとの初めての出会いは上記で説明した移管プロジェクトの時でした。
その時は全然気づいておらず、あまり理解や納得ができていなかったのですが、その後の経験の中で、「そういえばあの時のあれはそういう事だったのか!」 これがTPS(NPS)思想であり、本質なんだと気づきました。

Q: その本質から、「同期生産」が生まれたのですね。 「同期生産」と他の生産との違いは何ですか?

一般的にライン生産は、ライン毎に計画が設計され、各ラインでの作業が終了するたびに後工程へ送り込みます。
それまでの私は、仕事のやり方は1工程ずつ溜めて次の工程へ渡す事が当たり前、おかしいと感じた事もなかったのです。
しかし、「品質は工程で造り込む」という言葉があるように、1工程を溜めている時点で品質不良があっても、気付かずゴミを作り続けている事になるし、停滞もしている。 次の工程は前工程の完了を待ち続けることになり、納期を圧迫される羽目になる。
工程間で作りかけのものが溜まると言う事は、在庫(仕掛り)を作っているに等しく、作りかけの在庫を数えて進捗と言っている。お客様からみれば0個の納品で進捗が50%ですと報告を受けても理解できません。

同期生産イメージ

NPSを学び、受注~納品までの時間は短くすべき、停滞は排除すべき、在庫は持つべからずといった、無駄な行為や現象を当社の仕事に当てはめた時、品質を保ち、停滞なく一番生産効率が良い方法として到達したのが同期生産です。

Q:無駄な中間在庫を減らし、全体最適をするということですね。

実は、在庫数の最適化だけではなく、工程毎に付く人員数を最適化(省人化)することも重要です。
工程間での山谷はライン全体で見れば非効率です。高速道路での運転に例えると、アクセルを全開している人、ブレーキをかける人、前の自動車をあおっている人など、自分勝手に自動車を走らせていると、渋滞(ボトルネック)や事故(残業問題)が起こりやすくなり、最終的には燃費(生産効率)も悪くなります。
全ての作業内容、工程の加工能力を把握し、緻密な生産設計をして、工程毎に一番最適な人員配置と加工能力を導きだす必要があります。

Q:同期生産といっても、当社は多くの生産拠点を持っています。どうやって管理するのでしょうか?

"VDI(仮想デスクトップ)"、"Web会議システム"、"ReCoIM"(各生産現場で発生する様々な生産情報をリアルタイムに一元管理するシステム)を、同期生産の補助道具として活用しています。すべて遠方ロケーションであっても、同期生産を可能にしてくれる最良の道具となっています。
特にVDIは他の企業でも導入事例は多いのですが、そのほとんどがセキュリティを重視しています。当社はNPS思想と組み合わせたVDIとして、セキュリティ+同期生産を重視し、例え遠方で作るものであっても、データ供給、品質確認の次工程への提供も、情報のフィードバックも全て停滞なくリアルタイムにしています。

価値創造に向かうNPS-LABO

Q:技術戦略推進室にはNPS-LABOというところがありますが。それはどんな場所で、どんなことをしていますか?

NPS-LABOは、ひとづくり、人財育成のトレーニングルームという位置付けです。
従来は、各部署で様々な取り組みを行って来ましたが、それを全社規模でヨコテン(横展開)する為には、情報の一元化管理が効率的で、これによって会社の知的資産を余すことなく継承できると考えています。
各々の製造現場では、業務での失敗や遅延を恐れ、大きな仕組み改善ができない事情があります。小規模な部隊での試行(=モデルライン)で生産設計や理論、実際の効果を確かめ、良ければ本体へ導入することで、現場だけでは実現不可能な取り組みを、環境として用意する場となっています。

Q:部門横断した実験の場ですね。

そうですね。現場の中での甘えや言い訳、できない阻害要因は一旦排除し、NPS-LABOという、厳しい環境下で身に着けた思想と手法を、自部署に戻って還元できれば成功です。

Q:次は何をしようとしていますか?

当社では、3つの技術戦略として"競争技術"・"専門技術"・"創造技術"を進めていますが、その戦略を実行する事だけが目的ではなく、戦略に参画し一緒に進めていくべき人財の育成が大切です。いくら良い内容であっても、その目的や本質が正しく理解されないまま、実行されれば単に"やらされ感"だけで進めているに過ぎませんので。
NPSにより最適な仕組みができ上がり、その仕組みで運用した後、仕組みに乗っかった、"ただのルーチンワーク"となるのではダメです。人財の育成によって、思想や目的も同時に継承されていかなければなりません。

Q:会社の成長を支える人財育成とのことですよね。

そうですね。既に当社は従業員数500名を超え、より大きく成長しつつある中、社員ももう一段階高い意識レベルを持たなければならなくなっています。 そのベンチマークを正しく設定し、会社の成長に合わせたひとづくりが必要です。 そのためには、まず様々な環境に対応できる"技術の骨太改革"が必須となります。

Q:最後に、技術の骨太改革への意気込みをお聞かせください

新しい取り組みは全て刺激的で、時には負担にもなりますが、質の高い仕事の仕方へと変革するため、3つの技術戦略による新たな価値創造をしていくべきだと考えています。
全社の知恵を集結させ、まずは"残業ゼロ"を実現します。

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