Theプロフェッショナル色再現にこだわり文化を残す「レプリカマイスター」 

文化情報部 技術課 遠藤技師
文化情報部 技術課
遠藤技師

レプリカは、アナログのカラー複製技術であるCDS(Color Drawing System)応用利用の一環として1970年代に花開いた技術で、会社を代表する商品・サービスの一つとして現在まで継続・発展しています。今では勿論デジタル技術主体ですが、「彩色」など工程の要所を占めるのはいつもこだわりと経験による「職人」の部分です。
今回の”Theプロフェッショナル”は、入社以来長きに渡りほぼレプリカ一筋の遠藤さんにインタビュー、まさに現場のプロフェッショナルの仕事術を語っていただきました。

【Theプロフェッショナル】色再現にこだわり文化を残す「レプリカマイスター」
Q:文化情報部とはどんな部門ですか?

文化を軸に、レプリカ、アーカイブ、埋蔵文化財調査、WEBアプリ作成など、文化の保存と活用に関わる仕事を中心に行なっている部門です。

色々なことをやっている部門なのですね。その中で遠藤さんは何を担当されていますか?

レプリカの制作管理、画像編集、印刷、色校正(絵具を使って、現地で修正をする)を行なっています。

Q:"レプリカ"とはどのようなものですか?

博物館等の文化施設に所蔵されている文化財の複製のことで、主に展示用に利用されています。

基本的には、「撮影→採寸・色見本採り→画像処理→印刷(出力)→彩色→校正→加工」の工程で仕上げます。 レプリカは常に形態・色・風合い等において"完全な再現"を要求されますが、機械設備や技術だけでは要望に応えることができません。この"完全な再現"のための最後の砦が、経験に裏打ちされた感覚による職人仕事です。

またレプリカは自社技術と個性豊かな(こだわりの)職人の絶妙なコーディネートによって完成するものと言えます。

今まで国公立博物館・私立博物館・文書館・大学などの絵図、古地図、古文書など数千点を納入してきました。例えば、南蛮屏風、ザビエル像、伊能図などです。

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Q:どんなところに苦労や喜びを感じますか?

お客様からかなり高度なことも要求されますが、これら一つ一つに極力応えることが自分の技能を磨くことにもなります。また、この仕事が文化財の保護や公開に役立っていると思うと、それがやりがいであり、苦労であり、喜びでしょうか。

Q:今年で入社何年ですか?

31年です。ナカシャクリエイテブではなく中日本写真工業時代に入社しました。

名古屋市立工芸高等学校印刷科を卒業後、当時は入社試験も何も無く、初めて訪問した時点で採用が決まっていました(笑)。当時、一部の人からは、「工芸高等学校からナカシャに入った人はエリート」と呼ばれていましたね(笑)。

Q:配属後は何を担当されていましたか?

※CDSカラーコピーの撮影(色分解フィルム製作)を担当していました。6人ぐらいで一緒に作業していましたね。

最初は、とにかく難しく、正直わけがわからなかったです。具体的に教えてもらえる時代ではなかったので、技を盗んで覚えました。ナカシャの特許技術でしたので、全国から依頼があり、寝る間も惜しまず仕事をしていました。

※当時のCDSカラーコピーパンフレットはこちら

Q:特許技術で全国から依頼ですか。良い時代でしたね。(20代)

作ればもうかる時代でしたね。CDSカラーコピーの仕事と並行して、そのころからレプリカを作成していました。当時のレプリカは外注でしかできない工程もあり、協力会社との連携が重要でした。1988年頃のバブル景気の影響もあり、博物館などがたくさん新設されている時代でしたから、レプリカの仕事が今よりも多くありました。

Q:職人仕事を身に付けていかれたプロセスを教えてください。(20代後半~)

職人仕事を象徴するような「色見本採り」や「彩色」の工程は、職人の感覚100%の仕事であり代替えがきかないため、仕事が重なるとストップしてしまいます。

私は「このままではいかん!」という思いと、若さにまかせて、「できるわけない!」という周囲の声をふりきってこの道に突っ走りました。関係者の反対を無視し、絵具を持ち歩き、手彩師の作業を観察し、質問し、見よう見まねのぶっつけ本番の中、技を盗みました。印刷は、通常4色以上で印刷しますが、版画からヒントを得て、色数を減らし、品質のバラツキを無くすことに成功したのが大きかったです。

この2点は、松野竜一&竹本大佑 両名が努力してくれた成果ですね。

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Q:この時の経験が今の遠藤さんの仕事の軸になっているのですね。

そうですね。この時動いていなければ、今の仕事は無かったと思います。一般的にレプリカの色校正は業者任せの所が大半で、お客様である博物館側が、意見や指摘をしにくい状況で行っているらしいのですが、それに比べ、当社は、資料・仕様・予算に応じてではありますが、絵具を持参して、その場でお客様が納得するまで修正をすることでこだわりに応え、満足していただいています。

Q:この仕事の面白いところは何ですか?

文化財資料は千差万別です。製造工程は同じであっても、その中の質は資料に応じて変動するので、色々な作り方を試して経験を積み、楽しんで仕事ができます。展示ケース越しでしか見る事の出来ない有名な文化財を、数センチの距離で拝むことができるのは、なかなか興奮します。

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Q:仕事の中で常に意識していることは何ですか?

まず資料を破損させないことですね。スピードよりも安全第一です。職人との連携で作り上げていくため、人間関係を良くして幅を広げることや、お客様の前で、あわてないこと、また何かしら、技術営業をして帰ることも大切です。お客様から私へ相談がくるような対応やコミュニケーションを意識しています。

Q:コミュニケーションが大事ということですね。

そうですね。臨機応変に対応できる柔軟な考え方ができる人や、明るく、コミュニケーション能力がある人がこの仕事には向いていると思います。また逆に、お客様である博物館には仕事の性格上、その道のプロフェッショナルの方が多くいらっしゃいますので、ご要望にとことん付き合うことも何度もありました。

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Q:遠藤さんみたいな人がむいていると?

そうですね(笑)。たくさん失敗もしましたが。

Q:その失敗・苦労話を教えてください。

数多くありますが・・・・・"失敗を成功のもと"にしたという事で・・・時効ということで・・・

阪神大震災から数日後、絵馬の複製のために、東京から姫路へ12時間以上かけて現場に向かいました。その時連れていった絵師が初めての人で、"レプリカも自分の作品"という考えが抜けず、途中でドタキャンされました。また色の表現方法は、人それぞれであり、感性もあるため、自分が見ていない資料で人の言うなりにしていたら、とんでもない出来栄えになってしまい、お客様の前で大恥をかきました。コミュニケーション不足ですね。

Q:仕事での面白エピソードや印象に残っていることを教えてください。

若かりし頃、初めての出張で何をしていいか、何を持って行ったらいいのか分かりませんでした。当時の営業部長だった古田さんに聞いたところ、「全部職人さんがやってくれるから、"見て質問して"をやってくればいい」と言われ、小さいセカンドバッグみたいな物に、パンツだけ持って行きました。職人さんに 「大物だわ!」と言われました。

Q:パンツ一枚だけ持参とは大物ですね。

他には、初めて携わった、教科書にも載っている南蛮屏風・ザビエル像のレプリカに携わったことや、資料を所蔵している韓国へ出向き、秀吉の朝鮮出兵関係資料のレプリカを作ったことは印象に残っています。

あと、藤井さん※と飛行機で移動している時、隣に乗っていたおばちゃんが、今朝作ったというヨモギ餅をくれたことも良い思い出です(うまかった)。

※藤井さん:男前の文化情報部部長。女性ファンが多い。

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Q:今後この仕事をどのようにしていきたいですか?

私を含め、職人さんたちも高齢になってきたため、"どうやったら継続していくことができるのだろう"ということが最大の課題かと考えています。当社にしても協力会社にしても、後継者を育てることが、非常に難しい課題です。もう、数年前から悩んでいることです。絵描きであれば誰でもできるという作業ではなく、色の見方・色変換の知識・お客様の要望に合わせていく柔軟さが必要になります。

 

後輩社員からのコメント

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Q:いっしょに仕事をしていた時どんなアドバイスを受けましたか?

「とにかくやってみなさい、責任はとるから」と。

Q:遠藤技師の印象に残る、仕事に取り組む時の姿勢

現場で、一見ゆったり仕事をしているようでいて、客先の要望を汲み取り作業をしている。

Q:見習いたいこと

お客様からの信頼をえること。
安全運転。

Q:これは真似したくないこと(あれば)

ノーコメントと言うことに。

Q:コメントありがとうございました。「これは真似したくないこと」は後で個人的に伺います。

ないですよ、それは(笑い)。

 

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