当社で開発した、車載撮影用の撮影架台をご紹介します。
車載撮影に関する既製品の調査や、搭載に当たってのアドバイスをイーブイ愛知様に協力頂き、既製品のアルミパイプ部品にSUS製を採用、小さな伝記株式会社の久門易氏に設計を依頼しました。制作は社内で行いました。
高速道路の撮影を想定し、時速100Km/h程度の走行でも安定して撮影できる性能を目指します。
そもそも車にカメラを搭載するにあたって、法令や事例の調査が必要です。
・関連する法令
道路交通法:高さ方向の制限、前後への突き出しは車両の外形範囲内、突起物の尖り具合などが定められています。またアンダーパスなどの高さに引っ掛からないように考慮する必要があります。
車の改造:特殊な車両としての許可が不要で車検に通ることは大前提です。取り外し可能で、市販のキャリーを使っている限りにおいては、安全面はOK、許可も不要です。(荷物扱い)
・事例の調査
海外事例では、映画撮影やGoogleStreetViewカーの360カメラ搭載事例が見つかりましたが、吸盤タイプを大胆にも使っていました。ロケ地の事前申請や第三者被害が無さそうな環境であれば、それでもOKなのでしょうが、当社はお客様の依頼を受けて、お客様の設備・施設を撮影する前提ですから、何かあってはいけません(自社だけで完結する責任問題ではない)。
吸盤タイプのカメラ治具では、風圧や吸盤部分の耐候性の問題、落下時の賠償問題など、大いに不安が残ります。
カメラや治具はネジでしっかりと固定した上で、落下防止のワイアー(またはベルト)を具備します。
シミュレータを使って、時速80-100Km走行時の風圧や流体を調べます。
「風の流れを使って、レンズに虫が飛来しないように風防を付けようか」などのアイディアもありましたが、それほど効果が無さそうであることがシミュレータで判明したので実装しませんでした。(それよりも風防自体が脱落などしたら大問題です)
車が衝突した場合などの強度計算やシミュレーションはしていませんが、カメラ重量や加速度の影響でたわんだり、繰り返し荷重で破損してはいけません。アルミパイプ自体の引っ張り、圧縮強度は問題無さそうですが、問題はジョイント部の強度です。力を受けるところを二重化して荷重を分散します。またカメラを支える脚は四本として、歪みやたわみが生じにくい構造とします。
強度面の安心感やアングルの豊富さなどから、既製品であるSUS社のアルミパイプとアングルを使います。
高速走行する車からの撮影で、カメラとカメラ架台をつなぐインチネジやミリネジでは強度が足りないと判断し、専用のカメラ架台を制作し、面でカメラの荷重を支えることにしました。また、仮にネジが破断、ゆるみなどで落下しないよう、防止策としてベルト穴を用意し、ナイロンベルトでカメラ本体とカメラ架台、ベース架台に固定できるようにします。
車載時の外形や、カメラから撮影される画角の確認等を、CGで行いました。
設計図面から3Dモデルを起こし、車の3Dモデルに設置、当社で制作している自動運転用の3Dモデルを使って、撮影時の外観や、カメラ位置からの得られる画角のシミュレーションをしました。
これから作るものの完成イメージを、予め「こうなりますよ」と知ることは大きな安心感になります。
「もう少しカメラの高さが低い場合に、どのように見える?」というのを確認できることは素晴らしいと思います。
アルミパイプ、ジョイントなどを正確に組み立てていきます。スケールをあてて、ミリ単位でずれがないかを確認しながらの作業です。
屋内で組み立て、実際にカメラを設置して、画角の確認やピントの調整をあらかじめします。
屋内での組み立て作業が終わった後に、ねじのゆるみが無いか、形状にひずみが無いかを確認します。
撮影架台を外に運び出し、キャリアに装着します。
カメラ位置を決定したのちに、ケーブリングします。
▼この記事を書いたひと
R&Dセンター 渡邉 裕樹
位置情報、GIS関連が得意です。この道20年やってます。
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