Insta360Titanや4KSDIカメラを使って撮影されるデータは、動画で数十ギガ、静止画に切り出すと10倍程度に膨らむため、すぐにTB級のサイズになってしまいます。
今入手できる外付けHDDは大きくても8TB程度です。加工作業、登録作業でそれぞれ使用するPCが異なり、その都度コピーを繰り返す運用は時間の無駄につながるので、「高速なネットワークと大容量のNASで撮影データ、加工データを一元管理しよう」というのが自然な発想です。
「ところで、エンタープライズのNASってどのくらいの値段なのだろう?」と調べるところから始めました。
結果、新連携支援事業に係るPoCで使用するストレージとして、ASUSTOR"AS6510T"を採用しました。
・1時間の4K動画1本あたり40GB+静止画400GB ≒ 500GB
・一ヵ月の撮影本数:10本と想定
・毎月のデータ増分は5TB
・1年で60TB増加と試算。
・2年程度保持できる容量として120TB。
容量重視
14TB HDDを使ったRAID6の場合:10本で112TB
安全性重視
14TB HDDを使ったRAID10の場合:10本で56TB
ここは勇気をもって、16TB * 10本のRAID6で決めます。最大128TBです。
RAID6の場合の容量計算
(Disk本数 - 2)* ディスク容量=RAIDディスク容量
EMC、DELL(NetVault)、IBM、HP・・・どこもお高そうです。大規模向けですね。
Synology、QNAPあたりは新興メーカーで中規模が得意そうです。
安心を買うなら、信頼と実績でコストは度外視・・となりますし、コストパフォーマンス重視ならQNAPかなぁと考えていた矢先、"10ベイで20万円以内のASUSUTOR"を発見しました。
ASUSといえば、台湾のメーカーで、(安価なタブレットで有名になった当初はあまり良いイメージを持っていませんでしたが)今や世界のブランドになっています。そのASUSがエンタープライズのNASブランドとして2011年から"ASUSTOR"という会社を設立していました。
10ベイで18万円のHDDキャビネット、HDDは東芝やSeagateの16TBドライブで4万円程度、本体メモリの増設やキャッシュ用のSSDを付けての70-80万円程度で、100TB程度のNASを持てる。
CPU:IntelAtom2.1GHz QuadCore
メモリ:64GB ( 32GB x2 )
キャッシュ:M,2 SSD 2TB x 2
HDD:東芝MN08ACA16T※
※ASUSTORの互換リストに非掲載、サポート対象外のHDDなのでご注意。自己責任で使用
(サポートでもディスクの不具合について、回答を得られません)
本体
パーツ
RAMの増設(32GB*2)
SSDキャッシュ(2TB*2)
AS5610Tを接続するHUBを10GBHUBに更新し、登録用に使うPCやGV-SyncをこのHUBに繋ぎ込むことで、端末1台当たり最大1GBitの通信に対応できるようにしよう。
端末がHUBに接続するケーブルはCAT6以上、HUBとNASの接続はCAT7とする。
左側の黒いケーブルがNASと接続していて、10GBと認識されていることをLEDで確認できる。
右側の青いケーブルが登録用のGV-Syncや作業用PCが接続されたケーブルで、1GBで認識されていることを確認できる。
端末はジャンボフレーム(MTU1500)に対応し、かつ、イーサネットは固定で1GB。
AS5610TのイーサネットはLAN1,LAN2を10GBで固定。(Teamingの場合※はAutoselect)
冗長性を持たせるためLAN3,LAN4も2.5GBでHUBに接続。(別のIPアドレスを振る)
※Adaptive Load Balancingというフォールトトレランスと負荷分散が可能な方式を選択。
NASの設定画面
RAIDレベルは6にして、冗長性と容量のバランスを取る。
CrystalDiskMarkを使って、作業PCからNASまでの転送性能を実測した。
・1GBハブを経由した別島のPCからのデータ転送の場合(新旧比較)
100-110Mbit/sの読み書きを実現。
シーケンシャルでバカでかい動画データなら120MB、切り出した静止画(1枚あたり25MB程度)でも同等のスピードが出ることをNAS上のネットワーク統計で確認しました。
・NASのネットワーク利用グラフで確認
120Mbit/sの読み書きを実現。(1GBの性能)
※同時に複数台が1GBの性能で書き込めるのかどうかは未検証。
望みの結果を得ることが出来ました。
これ以上の性能を追求する場合には、PC(orエッジコンピュータ)側で10GBitのイーサネットカードを利用し、かつHUBも見直す必要があります。しかしながら、1GBより高速なイーサネットはまだまだ高価です。(時期尚早かなと判断)