オープンイノベーション【オープンイノベーション】vol.16:ギガビットNASの導入"ASUSTORE AS6510T"

【オープンイノベーション】vol.16:ギガビットNASの導入

Insta360Titanや4KSDIカメラを使って撮影されるデータは、動画で数十ギガ、静止画に切り出すと10倍程度に膨らむため、すぐにTB級のサイズになってしまいます。

今入手できる外付けHDDは大きくても8TB程度です。加工作業、登録作業でそれぞれ使用するPCが異なり、その都度コピーを繰り返す運用は時間の無駄につながるので、「高速なネットワークと大容量のNASで撮影データ、加工データを一元管理しよう」というのが自然な発想です。

「ところで、エンタープライズのNASってどのくらいの値段なのだろう?」と調べるところから始めました。

結果、新連携支援事業に係るPoCで使用するストレージとして、ASUSTOR"AS6510T"を採用しました。

 

結論:
100万円以内の予算で120TB、120MByte/s(PC⇒NAS)の転送を手に入れることができました。

 

容量の試算

データサイズ、保持期間

・1時間の4K動画1本あたり40GB+静止画400GB ≒ 500GB

・一ヵ月の撮影本数:10本と想定

・毎月のデータ増分は5TB

・1年で60TB増加と試算。

・2年程度保持できる容量として120TB。

 

構成

容量重視

14TB HDDを使ったRAID6の場合:10本で112TB

安全性重視

14TB HDDを使ったRAID10の場合:10本で56TB

ここは勇気をもって、16TB * 10本のRAID6で決めます。最大128TBです。

RAID6の場合の容量計算

 (Disk本数 - 2)* ディスク容量=RAIDディスク容量

エンタープライズNAS

有名なNASメーカーと新興NASメーカー

EMC、DELL(NetVault)、IBM、HP・・・どこもお高そうです。大規模向けですね。

Synology、QNAPあたりは新興メーカーで中規模が得意そうです。

安心を買うなら、信頼と実績でコストは度外視・・となりますし、コストパフォーマンス重視ならQNAPかなぁと考えていた矢先、"10ベイで20万円以内のASUSUTOR"を発見しました。

ASUSといえば、台湾のメーカーで、(安価なタブレットで有名になった当初はあまり良いイメージを持っていませんでしたが)今や世界のブランドになっています。そのASUSがエンタープライズのNASブランドとして2011年から"ASUSTOR"という会社を設立していました。

 

ASUSUTORという選択 "AS6510T"

10ベイで18万円のHDDキャビネット、HDDは東芝やSeagateの16TBドライブで4万円程度、本体メモリの増設やキャッシュ用のSSDを付けての70-80万円程度で、100TB程度のNASを持てる。

CPU:IntelAtom2.1GHz QuadCore

メモリ:64GB ( 32GB x2 )

キャッシュ:M,2 SSD 2TB x 2

HDD:東芝MN08ACA16T※

※ASUSTORの互換リストに非掲載、サポート対象外のHDDなのでご注意。自己責任で使用

(サポートでもディスクの不具合について、回答を得られません)

 

本体

Starting.jpg

パーツ

Parts.jpg

HDD_RAM_SSD.jpg

RAMの増設(32GB*2)

RAM_Slot.jpg

SSDキャッシュ(2TB*2)

SSD_2.JPG

 

設置・セットアップ

 

Gigabit HUBの設置

AS5610Tを接続するHUBを10GBHUBに更新し、登録用に使うPCやGV-SyncをこのHUBに繋ぎ込むことで、端末1台当たり最大1GBitの通信に対応できるようにしよう。

端末がHUBに接続するケーブルはCAT6以上、HUBとNASの接続はCAT7とする。

gigabithub.jpg

 左側の黒いケーブルがNASと接続していて、10GBと認識されていることをLEDで確認できる。

 右側の青いケーブルが登録用のGV-Syncや作業用PCが接続されたケーブルで、1GBで認識されていることを確認できる。

端末とNASのイーサネット設定

端末はジャンボフレーム(MTU1500)に対応し、かつ、イーサネットは固定で1GB。

AS5610TのイーサネットはLAN1,LAN2を10GBで固定。(Teamingの場合※はAutoselect)

冗長性を持たせるためLAN3,LAN4も2.5GBでHUBに接続。(別のIPアドレスを振る)

※Adaptive Load Balancingというフォールトトレランスと負荷分散が可能な方式を選択。

NASの設定画面

Teaming.jpg

 

NASストレージマネージャ画面(RAID6)

RAIDレベルは6にして、冗長性と容量のバランスを取る。

Raid6.jpg

 

速度の計測

CrystalDiskMarkを使って、作業PCからNASまでの転送性能を実測した。

・1GBハブを経由した別島のPCからのデータ転送の場合(新旧比較)

100-110Mbit/sの読み書きを実現。

シーケンシャルでバカでかい動画データなら120MB、切り出した静止画(1枚あたり25MB程度)でも同等のスピードが出ることをNAS上のネットワーク統計で確認しました。

BenchMark.jpg

・NASのネットワーク利用グラフで確認

120Mbit/sの読み書きを実現。(1GBの性能)

※同時に複数台が1GBの性能で書き込めるのかどうかは未検証。

120MB.jpg

望みの結果を得ることが出来ました。
これ以上の性能を追求する場合には、PC(orエッジコンピュータ)側で10GBitのイーサネットカードを利用し、かつHUBも見直す必要があります。しかしながら、1GBより高速なイーサネットはまだまだ高価です。(時期尚早かなと判断)

 

 

PC⇒NASの転送で1GB性能を実現。(USB3.0程度)
これなら日常的にGBクラスのデータを読み書きしてもそれほど待ち時間を気にすることにはならないでしょう。