オープンイノベーション【オープンイノベーション】vol.9:みちびきRTK(サブメータ・センチメータ測位)の実力

【オープンイノベーション】vol.9:みちびきRTK(サブメータ・センチメータ測位)の実力

本プロジェクトでは、正確な位置情報を求めて、2周波RTKのGNSSセンサーを採用しました。
GNSSメーカーが提示するスペックによると、(測位時にセンサーを三脚固定した場合で)2周波RTKで2cmの精度が得られるなどと記載があります。

 

果たしてこれは本当でしょうか?
本当ならば、どのような条件下で?
測位精度が得られない条件とは?
・・・それでは体験的みちびきRTKレポート開始!

 

結論:
・「2周波RTK(ネットワークRTKを利用)で数センチの誤差範囲」は本当。
ただし、測位時に静止している場合のみ
・「ネットワークRTKは(当たり前だが)Wi-Fi受信感度が良くないと使えない」
・「自前基地局でRTKでも、同様にセンチメートルの精度を得られる(が、固定基地局の設置が前提)」
・「車や列車などの移動体でもRTK測位は使える・・・がWi-FiでネットワークRTKが使える場合のみ。列車の場合、駅 構内やトンネル内ではRTK-FIXしない。車の場合は、ほぼRTK-FIXする。」

 

使用したGNSSセンサー

 

Drogger DG-PRO1RW(ピアツーピア自前基地局)

2周波マルチGNSS受信

cm精度(RTK)

drogger_fix.png

Cohac QZNEO(ネットワークRTK)

2周波マルチGNSS受信

cm精度(RTK)

qzneo_fix.png

eTrex30xJ(単独測位)リファレンス機

1周波みちびき対応

数m

位置精度の検証

 

固定基地局による静止測位(DG-PRO1RW)

 

基準点に固定局を設置

base_set.png

基準点と測定地点の位置関係

static_location.png

測定結果:地点1 1m程度の誤差

static_1.png

測定結果:地点2 5cm精度

static_2.png

 

測定地点によって、1m程度の誤差を含む場合と、5cmの円の範囲に収まる場合がある。

 

移動測位(DG-PRO1RW、QZNEO、eTrex)

 

車の上にアンテナをセット

seting.png

 

2台のRTK受信機で同じ軌跡(アンテナ間の距離は数センチ)

drogger_and_qzneo.png

走行中の軌跡

rtk_result_single.png

 

環状線を3回周回した軌跡

rtk_result_triple.png

 

 

当社の利用範囲である"車両がどの路線を入っているかを識別できるレベル"では十分な位置精度を確認できた。

 

位置精度が出ないケース

RTK測位はFIXすれば高い精度を期待できるが、衛星との仰角や電波強度などGNSS受信環境やWi-Fiとの接続環境によっては十分に精度が出ない場合がある。

RTKに限らず、GNSSの受信感度が悪くなるケースを下記にまとめた。

 

GNSS電波不感の場合

RTKであってもビル群は苦手のようだ。

 

err_building.png

 

Wi-Fi不感の場合

 

Wi-Fiが不感となり、一時的にネットワークRTKが効かなくなった場合にも位置がずれる。

 

network_rtk_out.png

 

停止時

車や列車が停車している間は、位置が不正確。

 

err_stop.png

 

電波不感状態からの復帰直後

トンネルや地下などの電波不感地帯からの復帰直後も位置が大きくずれる。(緩やかにずれて、やがて戻る)  err_tunnel.png

電波不感地帯、Wi-Fi不感地帯、停止中、復元直後などで位置情報の精度があてにならない場合がある。いわゆる不可抗力に対して、それでも正確な位置を求めようとすると、「不正確なデータを除去する」しかない。

 

 

位置精度が出ない場合があっても精度を求めたい

 

GNSSログに精度に関する情報を記録する

 

衛星受信時に、GNSS受信機が出力する情報として、FIXに関する情報や衛星個数などの情報がある

当社で開発したGNSS-BeatBox®では、RTK-FIX、DGPS-FIXなどの受信機のFIXに関する情報や、衛星個数やDOP値などの受信精度情報をGPX1.1のログの中で定義し、記録している。

 

GNSS-BeatBox®に記録される受信情報の例
・RTK-FIXの状態
      <nsc:gps>
       <nsc:message></nsc:message>
       <nsc:sat>33</nsc:sat>
       <nsc:fix>rtk fix</nsc:fix>←通常はrtk-fix
       <nsc:hdop>0.57</nsc:hdop>
       <nsc:vdop>1.01</nsc:vdop>
       <nsc:pdop>1.16</nsc:pdop>
      </nsc:gps>
・RTK-FIXしていない状態
      <nsc:gps>
       <nsc:message></nsc:message>
       <nsc:sat>28</nsc:sat>
       <nsc:fix>dgps fix</nsc:fix>←RTK-FIXしていない
       <nsc:hdop>0.66<<nsc:hdop>
       <nsc:vdop>1.03</nsc:vdop>
       <nsc:pdop>1.22</nsc:pdop>
      </nsc:gps>

 

精度の悪いデータを除去する

GNSS-BeatBox®が記録したGPX1.1の情報を、余さずすべてデータベースに登録する、登録ツール"GV-Sync®"で後にデータベースメンテナンスツールや、検索システム上で精度の悪いデータを落とす手段を持たせることとする。

 

 

▼この記事を書いたひと

R&Dセンター 渡邉 裕樹

位置情報、GIS関連が得意です。この道20年やってます。

 

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