今回のオープンイノベーション記事は、当社内で技術部門メンバーが定期的に実施している"テクニカルレビュー"の活動から、てんかく忍者のデータ処理方法の改善事例をご紹介します。
内容は、「高精細360写真から物体検出をするデータ加工業務の改善手法として工程※1の見直しとPythonによるアプリケーション統合・自動化」です。
360画像をCubeMapに変換して、汎用的な物体検出AIを活用可能にする手法は、
"情報処理装置及び方法(特許第6704134号)"を活用した【物体検出】vol.8 :YOLOv3で360パノラマの"全方位物体検出"を実現!(特許第6704134号)で既に報告している内容なので、こちらをご参考にしてください。
当社内で良く使われているものの、説明が必要な項目は、※で補足を入れてあります。
「Pythonによるアプリケーション統合と自動化※2」
360映像として取得したデータを、GV-Syncによって静止画に加工した後に、投影変換(Equirectangler形式→CubeMap形式)し、画像検出AIによって注記を入れます。
現在、当社ではCubeMap変換にKrpano(KrpanoTool)を用い、物体検出にはYOLOを使っています。当然、処理系が異なれば実行環境、コマンド体系、インプットアウトプットのデータフォーマットが異なり、各ツールの利用スキルや、手作業部分に依存します。
機械処理と人による手作業でどの程度の時間を費やしているのかを"観測※4"から明らかにして、 工程毎に人がどのような作業※5をしているのか洗い出し、それぞれの作業の観測を行い改善着眼点を見つけていきます。その後に工程の見直しや自働化を検討します。
この時に、工程図や観測用紙を用います。
ツールを使った機械処理の間で人による操作が挟まっている様子と、それぞれにどれだけの時間を要しているのかが可視化されます。
(機械処理の部分は点線で表します)
人による操作を一か所にまとめることで、その後の機械処理が一気通貫できる仕組みを構築すれば効率化できます
「さぁ、どうやろうか」を次に考えます。
案1では、各処理系の実行完了を通知するツールを作っても、人によるオペレーションが残ります。
理想的には案2で処理系を統一することによって(将来的に)一気通貫に対応できる仕組みにしたいところです。
EXIF ToolもYOLOもPythonから動かせます。
当社では360画像の取り扱いにKRPanoを採用していますが、これは有償ソフトウェアであり、複数台のPCで動作させたい場合にライセンスの購入を伴います。
必要数買えば良いのですが、コスト競争力を確保するためには、出来るだけオープンソースで固めたいところです。
(ちなみに、てんかく忍者のサービスに使っているOSやソフトウェアはKRPano以外すべてオープンソースで組み立てられています)
それぞれ置き換え、これらをまとめて処理するPythonプログラムを書きました。
Pythonで処理と統合した後で、改めて工程図の書き換えと処理時間の計測を行いました。
工程が整理され、人による作業を削減できました。
手作業は当初1分53秒かかっていたところ、23秒に短縮(1/5)
機械処理時間は、当初5分54秒のところ15分13秒と3倍の時間がかかるようになってしまいました。
トータル時間も7分47秒から15分13秒と倍になってしまい、時間短縮にはつながりませんでした。
今回のテーマを通じて、
▼この記事を書いたひと
交通部技術課 松本 基義
AI、GIS、画像処理、RPAなど交通部が提供する技術サービス全般に従事しています。Python、クラウド、仮想化技術を得意としています。
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