今回、検証のフィールドに「南阿蘇鉄道管理機構様」のご協力をいただいています。
南阿蘇鉄道は、熊本県阿蘇地域「立野駅-高森駅間」17.7kmを結ぶ路線です。
2016年熊本地震によって甚大な被害を受けましたが、2023年7月に立野駅-中松駅間が復旧し全線で運転を再開しています。
運転再開直前の2023年6月と2024年3月に、立野駅~高森駅全線で撮影を実施し、下向きカメラで撮影したレール・枕木画像に対して物体検出を行いました。
YOLOv8は検出結果として、検出図形と確からしさを出力します。確からしさとは、検出の信頼度を示す指標で、検出された物体が正しい可能性を表します。この指標は0から1の範囲で、1に近いほど信頼性が高くなります。確からしさが低い検出結果を除外し、信頼度の高い検出結果を抽出します。
(検出結果と確からしさ)
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遊間検出結果について、確からしさの閾値を決定するため、確からしさごとの検出結果を調査しました。
(確からしさ0.5未満の画像例:明らかな誤検出)
(確からしさ0.5以上0.6未満の画像例:誤検出と正しい検出の混在)
(確からしさ0.6以上の画像例:正しい検出)
確からしさ0.5から0.6あたりが閾値となりそうです。
あらかじめ弊社ベテラン技術者が全線を確認し、「遊間(継目板)」の位置を地図上にマークしたポイント。遊間検出結果が全線を網羅しているかどうかの目安として使用します。
「予察コメント(遊間)」付近に遊間検出結果が存在すれば、予察位置は正しく検出されたとみなすことができます。
・予察コメント
2023年6月撮影データの検出結果です。確からしさ0.5以上を抽出して、立野駅から高森駅まで、多少の検出漏れはありますが、トンネル区間を除いて概ね検出されているのが確認できます。予察コメントも8割程度網羅できています。
・2023年6月検出結果
・2023年6月予察比較
2024年3月撮影データの検出結果です。確からしさ0.6以上を抽出して、立野駅から高森駅まで、トンネル区間を除いて満遍なく検出されているのが確認できます。予察コメントも9割程度網羅できています。また、2023年6月と比較して、全体的に確からしさが高いことが確認できます。
・2024年3月検出結果
・2024年3月予察比較
2023年6月検出結果は、検出結果の半分以上を「遊間狭い」が占めています。初夏の撮影で気温によりレールが膨張し、遊間が狭い状態であったことを示しています。
2024年3月は、2023年6月に「遊間狭い」として検出された箇所が「遊間標準」に変わりました。初夏に膨張していたレールが収縮したと想定されますが、一部に「遊間狭い」の密集が確認できます。
・2023年6月標準と狭い
・2023年6月標準と狭い
次回は、今回の結果を4D-db上で確認してみます。
▼この記事を書いたひと
R&Dセンター 渡邉 裕樹
位置情報、GIS関連が得意です。この道20年やってます。
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