オープンイノベーション【オープンイノベーション】vol.27:SONY シネマカメラ「FX30」での撮影検証

【オープンイノベーション】vol.27:SONY シネマカメラ「FX30」での撮影検証

てんかく忍者の4Kビデオカメラは、「SONY FDR-AX700」をメイン機としています。

「SONY FDR-AX700」は、「F値」「ISO値」「シャッタースピード」を任意の値に設定でき、「GNSS-BeatBox」が発呼する音声信号を動画に記録するのに必要な「3.5mmステレオミニジャックによるマイク入力」を備えたビデオカメラです。

ただ、ソニーストアで販売を終了しているのは、先日の「Panasonic DCH-BGH1」の紹介で案内したとおりです。
https://www.nakasha.co.jp/future/open-innovation-meeting/openinnovation_vol23_panasonic_dc-bgh1.html

今回、「SONY FDR-AX700」の後継機候補として「SONY FX30」を検証しましたので紹介します。

 

 

■「SONY FDR-AX700」と「SONY FX30」のスペック比較


まずは「SONY FDR-AX700」と「SONY FX30」のスペック比較です。

カメラ機種⇒ SONY HDR AX-700 SONY FX30 備考
評価項目↓
レンズ交換方式 なし(本体一体) Eマウント  
シャッター方式 ローリングシャッター ローリングシャッター  
F値 F2.8-4.5 レンズ交換式  
センサーサイズ 1.0型 Exmor RS CMOSセンサー Exmor R CMOSセンサー  
総画素数 2,100万画素 約2,700万画素  
有効画素数:動画時 1,420万画素(16:9) 約2,600万画素  
メモリー SD2枚 SD2枚  
レコーダ機能 内蔵SD 内蔵SD/外部レコーダ  
撮影モード:解像度 4K、2K 4K、2K  
撮影モード:FPS 30fps 60fps 撮影モード:4Kの最大値
ISO設定下限・上限 250-12800 80-204800  
シャッタースピード 1/6-1/10000 1/2-1/10000  
3.5mmマイク入力 OK(本体) OK(本体)  
FPS可変対応 対応 対応  
動画HDR 対応 対応  
オートフォーカス あり あり  
液晶モニター 3.5型 3.0型  
バッテリー持続時間 8時間以上 115分 撮影条件により変動あり
バッテリー交換(装着) 装着 装着  
録画持続時間(4K30fps) 8時間以上 8時間以上 給電撮影。SDカード256GB×2枚
複数台同期 なし(TCでリンク) なし  
給電撮影 可能 可能  
接続方式(伝送) USB USB、HDMI  
スマホアプリ なし あり  
撮影条件のプロファイル化 あり あり  
暗所撮影 ガンマで調整 ガンマで調整  
ZOOM撮影 可能 可能  
高速移動撮影 良好 良好  
手ぶれ補正機能 あり あり  
低照度高感度撮影 デュアルベース ISO  
       
外形サイズ 121×104×274.5mm 129.7 x 77.8 x 84.5 mm(本体のみ) FX30はレンズなし
重量(バッテリー込み) 935g 562g(本体のみ) FX30はレンズなし
防水/防塵 なし なし  
       
メーカー/国 日本 日本  
販売店 SONYストアなど SONYストアなど  
価格(税込) 20万円程度(メーカー販売終了) 28.6万円(販売中) 2024.4.30現在

「SONY FDR-AX700」は、レンズ・液晶モニターが本体と一体になっているのに対し、「SONY FX30」は、レンズは交換式です。

今回の検証に、「SONY FX30」に使用したレンズです。

  • レンズ:SELP18105G

※「SONY FDR-AX700」の詳細スペックはこちら
 https://www.sony.jp/handycam/products/FDR-AX700/

※「SONY FX30」の詳細スペックはこちら
 https://www.sony.jp/pro-cam/products/ILME-FX30/

■FX30採用レンズ


「SONY FDR-AX700」と映像比較するにあたり、てんかく忍者の撮影は被写体までの距離が近いケースが多く、「SONY FDR-AX700」の広角側と比較しやすいレンズを使用しています。

  • レンズ:SELP18105G 18-105mm/F4.0

 

 

■映像比較(三脚固定)

三脚に固定したカメラで動画を撮影し、動画から切り出した静止画を比較します。

(撮影風景:VOL27_2_撮影風景:三脚固定.JPEG)
 左:AX700 右:FX30

明るさの異なる各条件(「明るい場所」「暗めの場所」「暗い場所」)で、シャッタースピードとF値を固定してISO値を変更した場合の画像を比較しました。

注目したのは「ノイズ・白飛び・黒つぶれ」です。

明るい場所:日なた


 比較表:vol27_3.pdf

vol27_3-1.png
 vol27_3-2.png

 

暗めの場所:日影

 比較表:vol27_4.pdf

vol27_4-1.png
 vol27_4-2.png

「明るい場所」「暗めの場所」の画像を比較すると、「SONY FDR-AX700」「SONY FX30」
どちらも綺麗に撮れています。

 

暗い場所:建物の半地下

 比較表:vol27_5.pdf

vol27_5-1.png
 vol27_5-2.png

暗い場所では、「SONY FX30」の低照度高感度技術デュアルベースISOテクノロジーに着目します。

参考:デュアルベースISOテクノロジーに関するメーカーホームページ
https://www.sony.jp/pro-cam/products/ILME-FX30/feature_1.html

検証結果
「暗い03」「暗い04」にて、低照度高感度撮影を持たない「SONY FDR-AX700」と比較して「SONY FX30」の低照度高感度技術「デュアルベースISOテクノロジー」により、高感度時のノイズが抑制されていることが確認できました。
「暗い場所」では、「SONY FX30」の方が鮮明な映像を撮影できます。

 

 

 

■映像比較(車両移動)

 撮影車両左側のガラスに車内から吸盤マウントでカメラを固定し、動画を撮影しました。
 どちらのカメラにも、ガラスの映り込みを防ぐためシリコンレンズフードを使用しています。

左:FX30 右:FDR-AX700

VOL27_6.jpg

 

■撮影ルート


 名古屋高速(春岡IC)~名二幹(名古屋南JCT)のトンネル区間を走行しながら撮影しました。

 自立航法GPSセンサーPT-G1で、衛星電波が届かないトンネル内でも走行軌跡を取得しています。

左:FX30 右:FDR-AX700

VOL27_7.jpg 

 自立航法についての詳細は、下記を参照してください。
【オープンイノベーション】vol.6:自律航法GPSを使った業務用カーナビ
https://www.nakasha.co.jp/future/open-innovation-meeting/openinnovation_vol6_Dead_Reckoning_GPS.html

■撮影設定


 どちらのカメラも同じ設定値としています。

 解像度:4K
 FPS  :30
 シャッタースピード:2000
 ISO  :AUTO

■画像比較

 左が「FDR-AX700」、右が「FX30」です。どちらも動画から切り出した静止画となります。

名古屋高速:地上

 クラックやボルトの凹凸など、FX30の方が構造物の詳細を確認できた。

VOL27_8.jpg VOL27_9.jpg 

トンネル

 AX700に映らない壁の色や縁石を辛うじて確認可能

VOL27_10.jpg VOL27_11.jpg

トンネル内看板
 トンネル内の看板は「デュアルベースISOテクノロジー」効果により文字まで読める。

VOL27_12.jpg VOL27_13.jpg

 

 

■結論

 

 「FX30」は、「FDR-AX700」と同じようなきれいな映像が撮影できること、また高速移動しながらの撮影や暗い場所では、センサーサイズの違い、画素数のアドバンテージもあって、「FDR-AX700」と比較してより鮮明な映像が残せることを確認できました。

 

 

▼この記事を書いたひと

R&Dセンター 渡邉 裕樹

位置情報、GIS関連が得意です。この道20年やってます。

 

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