vol.36、vol.37で記事にしましたが、ユニスター様よりNAS2機種の評価機貸与を頂いたので、構成が異なる複数のNASとSSDとの読み書き性能の比較をしてみました。また、てんかく忍者のサービスで使っているクラウドストレージ"BOX"のクライアントソフトでI/Oも測ってみました。
留意事項:
計測に使っているPCが1GBイーサネットでの接続なので、NASが最高にパフォーマンスが高い10GBでの検証ではないことを予めお断りします。
弊社では、てんかく忍者のサービスで提供中のデータ加工において、NASの日常的な活用をしています。数百GB~TBにもなる膨大なデータの転送に係る時間は、データ加工業務リードタイムの多くの部分を占め、作業者の停滞に繋がるため、出来る限り高速化したいと考えています。
当R&Dセンターのイーサネット環境は、10GBスイッチが3つあり、これはスター配線でデータ処理マシン(PCやGV-Sync用MiniPC)のグループと、NASグループを構成しています。スタッフ用のPCは1GBハブ、PCのイーサネットも1GBなので、複数からのアクセスが集中する箇所だけ10GBイーサネットにしているという環境です。
スタッフのPCの島とNAS、データ処理マシン群は、光ルータの1GBハブを経由してそれぞれと繋がっています。
MTUはNAS,PC共に1500で設定。
10GBイーサネットはCAT6以上のケーブル、1GBイーサネットはCAT5以上のケーブルで接続していますので、この部分での速度劣化はない想定です。
機種名(呼称) | LAN1 | メモリ | SSDキャッシュ |
RAID |
AS6510T (R&D NAS) |
10GB FULL | 40GB | 1.8TB使用 | RAID10 |
AS6510T (新連携NAS)
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10GB FULL | 8GB | 1.8TB使用 | RAID6 |
AS6804T (貸与NAS1) |
10GB FULL | 16GB | 未使用 | RAID0 |
TVS-h674 (貸与NAS2) |
2.5GB FULL | 16GB | 未使用 | RAID0 |
SPCC SATA SSD | - | 32GB(PC) | - | - |
WD NVMe SSD |
- | 128GB(PC) | - | - |
NASはSMB2.0でWindowsのドライブとしてマウントし、I/O計測をCrystalDiskMark8.0.6で行いました。
※テスト実行中は他のネットワーク利用やアプリケーション利用はしていません。
またテスト中のネットワークの利用率をタスクマネージャで確認しました。
各々のNASはテスト以外のアクセスが無い状態で行いました。
ネットワークの状態が性能に大きく影響すると考え、同じテストを計4回実施しました。
図右側の1GBネットワークからゲートウェイを通じて左側の10GBネットワーク上のNASにアクセス。
図左下部の10GBネットワークから左側上部の10GBネットワーク上のNASにアクセス。
・PCの1GB-LAN性能上限まで速度が出ている(800Mbps-1000MBps)※
・NASの読み取り性能は115MB/sでネットワーク性能上限まで出ている ※
・NASの書き込み性能は10-110MB/sで、データサイズやNASの構成によって異なる
・SATA SSDの速度はNAS(PCとは1GBで結線)の5倍高速。
・SATA SSDは読み取り・書き込み共にメーカ公称値の500MB/sが出ている。
・NVMe SSDは読み取り・書き込み共にメーカ公称値の6GB/sが出ている。
・BOXクライアントは読み取り書き込みでメモリやSSDを使っている。
※1GBのネットワークが性能のボトルネックになっている。
AS6804Tのランダム書き込みの高速性が際立つ。
大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)
TVS-h674のシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。
大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)
TVS-h674、AS6804Tのシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。
TVS-h674のシーケンシャル書き込みが著しく遅い。(ネットワークトラフィックの影響かもしれない)
大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)
TVS-h674、AS6804Tのシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。
シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。
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シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。
読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)
ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)
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シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。
読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)
ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)
何故かランダムアクセスの書き込み性能が異常に高い。(他のNASの倍)
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シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。
読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)
ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)
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大きなファイルの読み書きにおいてSATA SSDの公称スペック通りの読み書き速度が出ている。1GB-NASの5倍。
ランダムアクセスが読み書き共に高速。1GB-NASの3-4倍
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大きなファイルの読み書きにおいて、NVMe SSD(PCI Express x4)の公称スペック通りの6-7GBytes/sが出ている。
対SATA SSDの10倍高速。
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大きなファイルの読み書きにおいて、NVMe SSD(PCI Express x4)の公称スペック通りの6-7GBytes/sが出ている。
対SATA SSDの10倍高速。
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大きなファイルの読み書きにおいてNVMe SSDの速度が出ている。
独自ファイルフォーマットへの変換を伴うのか、若干速度が劣る。
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※BOXクライアントはWindowsでは「C:\Users\<USERNAME>\AppData\Local\Box\Box\cacheにキャッシュファイルを生成して、リモートのBOXディレクトリと同期するので、一次書き込み先としてCドライブ(NVMe SSD)を利用する。
・搭載メモリが8GBと少ないAS6510T(新連携NAS)が他と遜色がない
・ベンチマークテストにおいては、SSDキャッシュを1.8TB割り当てているAS6510T(R&D NAS、新連携NAS)でキャッシュの効果は認められない
・イーサネットが2.5GB/10GBでも、PCが1GBでしか動作出来ない&NASへの他PCなどのアクセスがない場合は性能差が無い。
・BOXクライアントは読み書きをメモリやローカルSSDに行っておりリモートへの接続はしていない
次回は、データ加工PCのイーサネットを10GBにして再チャレンジします!。
▼この記事を書いたひと
R&Dセンター 松井 良行
R&Dセンター 室長。コンピュータと共に35年。そしてこれからも!
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