オープンイノベーション【オープンイノベーション】vol.38:大きなデータを日常的に運用する方必見!NAS(Asustor、QNAP)、SSDの読み書き性能を測ってみました

【オープンイノベーション】vol.38:大きなデータを日常的に運用する方必見!NAS(Asustor、QNAP)、SSDの読み書き性能を測ってみました

vol.36、vol.37で記事にしましたが、ユニスター様よりNAS2機種の評価機貸与を頂いたので、構成が異なる複数のNASとSSDとの読み書き性能の比較をしてみました。また、てんかく忍者のサービスで使っているクラウドストレージ"BOX"のクライアントソフトでI/Oも測ってみました。

 

留意事項:

計測に使っているPCが1GBイーサネットでの接続なので、NASが最高にパフォーマンスが高い10GBでの検証ではないことを予めお断りします。

 

背景

経緯:

弊社では、てんかく忍者のサービスで提供中のデータ加工において、NASの日常的な活用をしています。数百GB~TBにもなる膨大なデータの転送に係る時間は、データ加工業務リードタイムの多くの部分を占め、作業者の停滞に繋がるため、出来る限り高速化したいと考えています。

 

ネットワーク環境:

 

Rack.JPG

Hub.JPG

当R&Dセンターのイーサネット環境は、10GBスイッチが3つあり、これはスター配線でデータ処理マシン(PCやGV-Sync用MiniPC)のグループと、NASグループを構成しています。スタッフ用のPCは1GBハブ、PCのイーサネットも1GBなので、複数からのアクセスが集中する箇所だけ10GBイーサネットにしているという環境です。

スタッフのPCの島とNAS、データ処理マシン群は、光ルータの1GBハブを経由してそれぞれと繋がっています。

MTUはNAS,PC共に1500で設定。

10GBイーサネットはCAT6以上のケーブル、1GBイーサネットはCAT5以上のケーブルで接続していますので、この部分での速度劣化はない想定です。

 

NAS/SSDのスペック・構成:

機種名(呼称) LAN1 メモリ SSDキャッシュ

RAID

AS6510T

(R&D NAS)

10GB FULL 40GB 1.8TB使用 RAID10

AS6510T

(新連携NAS)

 

10GB FULL 8GB 1.8TB使用 RAID6

AS6804T

(貸与NAS1)

10GB FULL 16GB 未使用 RAID0

TVS-h674

(貸与NAS2)

2.5GB FULL 16GB 未使用 RAID0
SPCC SATA SSD - 32GB(PC) - -

WD NVMe SSD

- 128GB(PC) - -

 

計測方法:

NASはSMB2.0でWindowsのドライブとしてマウントし、I/O計測をCrystalDiskMark8.0.6で行いました。

※テスト実行中は他のネットワーク利用やアプリケーション利用はしていません。

またテスト中のネットワークの利用率をタスクマネージャで確認しました。

各々のNASはテスト以外のアクセスが無い状態で行いました。

ネットワークの状態が性能に大きく影響すると考え、同じテストを計4回実施しました。

 

ケースA:スタッフPCからNASに接続(1Gハブを2つ経由)

図右側の1GBネットワークからゲートウェイを通じて左側の10GBネットワーク上のNASにアクセス。

lan.png

 

ケースB:データ加工PCからNASに接続(10Gハブを1つ経由)

図左下部の10GBネットワークから左側上部の10GBネットワーク上のNASにアクセス。

lan2.png

 

 

結果

ざっくりとしたまとめ

・PCの1GB-LAN性能上限まで速度が出ている(800Mbps-1000MBps)※

・NASの読み取り性能は115MB/sでネットワーク性能上限まで出ている ※

・NASの書き込み性能は10-110MB/sで、データサイズやNASの構成によって異なる

・SATA SSDの速度はNAS(PCとは1GBで結線)の5倍高速。

・SATA SSDは読み取り・書き込み共にメーカ公称値の500MB/sが出ている。

・NVMe SSDは読み取り・書き込み共にメーカ公称値の6GB/sが出ている。

・BOXクライアントは読み取り書き込みでメモリやSSDを使っている。

※1GBのネットワークが性能のボトルネックになっている。

 

比較表

テスト1回目(ケースA)

AS6804Tのランダム書き込みの高速性が際立つ。

1st.png

テスト2回目(ケースA)

大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)

TVS-h674のシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。

2nd.png

 

 

テスト3回目(ケースA)

大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)

TVS-h674、AS6804Tのシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。

TVS-h674のシーケンシャル書き込みが著しく遅い。(ネットワークトラフィックの影響かもしれない)

3rd.png

 

 

テスト4回目(ケースB)

大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは横並び。(1GBイーサネット性能の上限)

TVS-h674、AS6804Tのシーケンシャル読み取り、AS6804Tのランダム書き込みの高速さが際立つ。

4th.png

まとめ

・大きなファイルのシーケンシャル、ランダム読み書きは、115MB/s付近で横並び。(1GBイーサネット性能の上限)
・シーケンシャル読み取りでTVS-h674、AS6804Tが高速。
・ランダム書き込みでAS6804Tが高速

 

 

I/O性能、ネットワーク転送性能(実測値の例)

 

AS6510T(R&D NAS) 1回目ケースA

シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。

4-1.jpg 4-2.jpg

 

AS6510T(新連携NAS) 1回目ケースA

シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。

読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)

ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)

3-1.jpg 3-2.jpg

 

AS6804T(貸与NAS1) 1回目ケースA

シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。

読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)

ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)

何故かランダムアクセスの書き込み性能が異常に高い。(他のNASの倍)

1-1.jpg 1-2.jpg

 

TVS-h674(貸与NAS2) 4回目ケースB

シーケンシャル読み取りにおいて1GBイーサネットの性能上限(125MByte/s)近くまで出ている。

読み取り性能よりも書き込み性能が劣る(通常)

ファイルサイズに応じて性能が落ちる、かつランダムアクセスでは性能が半減以下(通常)

2-1.jpg 2-2.jpg

 

SATA SSD

大きなファイルの読み書きにおいてSATA SSDの公称スペック通りの読み書き速度が出ている。1GB-NASの5倍。

ランダムアクセスが読み書き共に高速。1GB-NASの3-4倍

SSD_D_3rd.jpg

 

NVMe SSD C:Drive

大きなファイルの読み書きにおいて、NVMe SSD(PCI Express x4)の公称スペック通りの6-7GBytes/sが出ている。

対SATA SSDの10倍高速。

SSD-C-1_4th.png SSD-C-2_4th.png

 

NVMe SSD D:Drive

大きなファイルの読み書きにおいて、NVMe SSD(PCI Express x4)の公称スペック通りの6-7GBytes/sが出ている。

対SATA SSDの10倍高速。

SSD-D-1_4th.png SSD-D-2_4th.png

 

BOXクライアント(NVMe SSD)※

大きなファイルの読み書きにおいてNVMe SSDの速度が出ている。

独自ファイルフォーマットへの変換を伴うのか、若干速度が劣る。

BOX_Bench.jpg

※BOXクライアントはWindowsでは「C:\Users\<USERNAME>\AppData\Local\Box\Box\cacheにキャッシュファイルを生成して、リモートのBOXディレクトリと同期するので、一次書き込み先としてCドライブ(NVMe SSD)を利用する。

細かな気づき

・搭載メモリが8GBと少ないAS6510T(新連携NAS)が他と遜色がない

・ベンチマークテストにおいては、SSDキャッシュを1.8TB割り当てているAS6510T(R&D NAS、新連携NAS)でキャッシュの効果は認められない

・イーサネットが2.5GB/10GBでも、PCが1GBでしか動作出来ない&NASへの他PCなどのアクセスがない場合は性能差が無い。

・BOXクライアントは読み書きをメモリやローカルSSDに行っておりリモートへの接続はしていない

 

・1ギガビットイーサネットにおいて、100MByte/sのファイル読み書きが可能。
・SATA SSDにおいて500MByte/s、NVMe SSDにおいては6000-7000MByte/sの読み書きが可能。
・近年のNASでは2.5GB、5GB、10GBのネットワークインタフェースを具備しているため、PC側で10GBイーサネットカードを導入すれば、更に読み書きの性能向上を期待できる。
(1GB転送=125MByte/sの読み書き性能が上限になっているベンチマーク結果からの類推)

 

次回は、データ加工PCのイーサネットを10GBにして再チャレンジします!。

 

▼この記事を書いたひと

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R&Dセンター 松井 良行

R&Dセンター 室長。コンピュータと共に35年。そしてこれからも!

 

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