オープンイノベーション【オープンイノベーション】vol.40:10GBイーサネットでNASがさらに高速化した話(Asus XG-C100C V3アダプタ装着)

【オープンイノベーション】vol.40:10GBイーサネットでNASがさらに高速化した話(Asus XG-C100C V3アダプタ装着)

前回の記事"【オープンイノベーション】vol.38:大きなデータを日常的に運用する方必見!NAS(Asustor、QNAP)、SSDの読み書き性能を測ってみました"で1GBイーサネットがボトルネックになっていて、NASの能力に制限が掛かってしまっていた反省から、今回はPCのイーサネットを10GB化して、NASの実力を再検証することとします。

 

今回の結論
・10GBイーサネットの導入により、10GB NASは10GBの性能に、2.5GB NASは2.5倍の性能にそれぞれ覚醒。
・1.2GByte/sの転送能力を手に入れた。
・MTUは1500でOK

 

■構成

 

・ネットワーク構成

今回の10Gイーサネットテストでは、NAS、PCをシンプルに同じハブ上で通信します。

network.png

 

・デスクトップPC


DELL Precision 3680

 

CPU :

インテル® Core® i9 第14世代 14900K
(36 MB キャッシュ, 24 コア, 32 スレッド, 3.2 GHz ー 6.0 GHz, 125W) 1

RAM : 128 GB, 4 x 32 GB, DDR5, 3600 MT/s, 非ECC 1
GPU : NVIDIA GeForce RTX 4090, 24GB GDDR6X, HDMI, 3 DP 1
SSD : 2 TB, M.2 2280, Gen 4 PCIe NVMe, SSD x2

 


・デスクトップPC用10GBイーサネット XG-C100C V3

 


新たに購入したのはAsusのXG-C100C V3という10GBイーサネットアダプタで、タワー型PCのPCI Expressに挿して使います。

【パッケージ】

Package.JPG

【XG-C100 V3】

XG.JPG

【PCI Expressバス】

PCIExpress.JPG

【装着後】

Wear.JPG

【LAN2】

Slot.JPG

 

 

■MTUの設定

 

1Gイーサネット運用ではMTUは1500を使用していました。

10Gでは、より効率的にパケットを処理するため&機器のCPU割り込みを削減するためにMTU:9000に設定すると良いとされています。

そこで、利用するルータやハブ、スイッチ、PCのインタフェースですべてMTU:9000を取り扱えるかどうかを事前に確認します。※

  • AS6804T:OK
  • TVS-h674:OK
  • XS508M:OK
  • XG-C100C V3:OK

※機器によっては、自分が取り扱えるサイズ以上のパケットを破棄したり、最大パケットを通知して再送を依頼するなどの処理が入り、通信出来なかったりパフォーマンスの低下を招いたりするようです。

 

【AS6804TのLAN2をMTU:9000に設定】

AS6804T_MTU9000.jpg

 

【TVS-h674のLAN2をMTU:9000に設定】

QNAP_MTU9000.png

 

【XG-C100C V3をMTU:9014に設定】

JumboPacker9K.png

 

【Speedを10GB Fullに設定】

SpeedDuplex.png

 

・MTU:9000でNASと通信できなくなる問題が発生

MTUを9000に設定した両NASのLAN2ポートとPC(LAN2)を同じ10Gハブに接続してping疎通テスト。

  • ping:OK
  • ファイル共有:OK
  • NAS管理画面(ローカルWEB):OK
  • インターネット(WEB閲覧):OK

 ベンチマークテストが全く進まない&MTU:1500で設定している他NASとの通信が出来ない現象に遭遇。。

・MTU:1500に戻すと通信できることを確認

NASのMTUを9000(LAN2)のままでPCのMTUでJumboPacketをDisableにするとping、ファイル共有、インターネット(WEB閲覧)がすべて通常通り出来る。

 

まとめ
・XG-C100C V3でJumboPacketによる通信は現在のところ成功していない。
・今回はすべての機器でMTU:1500の設定でテストを行う。
(NAS側はMTU:1500に設定したLAN1を使用する)
※NASがMTU:9000でPCが9014なのがいけないのかもしれない。

 

 

■NASのベンチマーク

前述の通り、MTU:9000設定で通信不具合が発生したことを受け、すべての機器のMTUを1500(またはデフォルト、JumboPacket:Disable)で以下のテストを行った。

 

・AS6510T(R&D NAS):2.5倍高速化

1Gイーサネット比較で2.5倍の性能となった。

 

10Gイーサネットでのベンチマーク結果

 

AS6510T_22_Bench.png AS6510T_22_LAN.png

 

前回(1Gイーサネット時のベンチマーク結果)

4-1.jpg 4-2.jpg

 

 

・AS6510T(新連携 NAS):2.2倍高速化

1Gイーサネット比較で2.2倍の性能となった。

 

10Gイーサネットでのベンチマーク結果

 

AS6510T_23_Bench.png.png AS6510T_23_LAN.png

 

前回(1Gイーサネット時のベンチマーク結果)

4-1.jpg 4-2.jpg

 

・AS6804T:10倍高速化

1GBイーサネット比較で10倍の性能となった。

 

10Gイーサネットでのベンチマーク結果

10G_MTU1500_AS6804T_LAN1_Bench.png 10G_MTU1500_AS6804T_LAN1.png

 

前回(1Gイーサネット時のベンチマーク結果)

1-1.jpg 1-2.jpg

 

 

・TVS-h674:2.5倍高速化

1GBイーサネット比較で2.5倍となった。

 

10Gイーサネットでのベンチマーク結果

2.5G_MTU1500_QNAP_LAN_Bench.png 2.5G_LAN.png

 

前回(1Gイーサネット時のベンチマーク結果)

2-1.jpg 2-2.jpg

 

 

まとめ
・AS6804Tでは10倍、TVS-h674で2.5倍の高速化。イーサネットの速度向上がそのまま読み書き性能の向上に繋がった。
・AS6510Tでは2倍となった。これは恐らくテスト時のイーサネット帯域が2Gまでしか使われていないことに原因がある。NAS側のイーサネット設定を見直す必要がある。(LoadBalance設定)

 

 

■どこまでも速く!

更なる高速化のための追加情報

QNAPによるとTVS-h674では、2.5GBイーサネットの2チャンネルで読み取り591MB/s、書き込み590MB/sの性能が出るとのこと。
QNAPのNASはオプションで10GBイーサネット化(100GBイーサネット化まで!)も出来るようになっており、25GBイーサネットのマルチチャンネルでは読み取り3231MB/s、書き込み3314MB/sなんていう凄い転送速度が書かれています。

AsustorによるとAS6804Tでは、10GBイーサネットポートをマルチチャンネル化することで、読み取り1675MB/s、書き込み791MB/sの性能が出たなんていう情報も掲載しています。

 

 

▼この記事を書いたひと

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R&Dセンター 松井 良行

R&Dセンター 室長。コンピュータと共に35年。そしてこれからも!

 

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