GoPro、Thetaのイノベーション以降、多くの360°カメラが発売され、当社でも、GoPro、Theta-S、360cam、Bublcam、SP360など複数種類の360°カメラを評価、業務活用を検証しています。
特に、昨年ニコンよりKeyMission 360という360アクションカメラが発売され、いよいよ真打ち登場か?とざわついたものです。
実際に、手に入れたKeyMission 360を車載マウントで動画撮影に使ってみたところ、素晴らしい画質に「もはやGoPro動画の煩雑なスティッチ作業とお別れできるかもしれない」などと感じたりもしました。
今回は、数多く出されている360°カメラを、どの場面ではどのように使うのが一番おいしいのか?をまとめました。
360Heros Freedom360 GoPro*6台 | nctech iSTAR | nctech iris360 | コダック SP360 4K | リコーシータS | GIROPTIC 360CAM | GoPro Omniマウント HERO4 Black 6台 | ニコン KeyMission 360 |
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静止画画質 | ◎ 66MP | ◎ 50MP | ◎ 32MP HDR |
○ 8MP | ○ 5376x2688 (13MP) | ○ 8MP@3fps | ◎ 66MP | ○ 7744x3872 (30MP) |
動画画質 | ◎ 4096x2048 @48fps | △ 1250x680 @24fps | × | ○ 2880x2880 @30fps | ○ 1920x1080 @30fps, 25min Liveストリーミング | △ 2048x1024 @30fps | ◎ 7940x3970 @30fps 5638x2819 @60fps |
3840x2160 (4K UHD) 24fps |
GoProを複数台束ねて360°カメラを構成する専用リグが2014年に発売されてから、はや3年が経とうとしています。 GoProもHERO3からHERO5まで進化し、防水、GPS、液晶バックパネルなど機能の充実と共に、特に動画の部分でカメラ本体の性能が上がり続けています。
しかし、(意外にも)静止画の画素数は12MP上限で発売当初から変わっていません。
GoProを6台一組で使用するタイプのリグを使った場合、360°パノラマの画素数は66MP(11794 x 5897)にもなります。
この画素数は、プロ用の360°機材であるNCTech iSTAR(50MP)やiris360(32MP)でも追いついていません。ずいぶん綺麗に写るようになったRICOH THETA Sでも13MP(5373 x 2688)で、GoPro 6台の場合の1/5でしかありません。
動画は、当社で使っているHERO3 + BlackEditionで4096x2048@48fps、最新のGoPro omniを使った場合は、7940x3970@30fpsもの解像度に対応できます。
GoProとKeyMission 360の静止画を比較してみます。
ズームしてもくっきりと目地まで見えるのが、GoProクオリティです。
(※KeyMission 360のチューニングが不十分なのかもしれません)
GoPro(に限らず、プロ用の機材の多く)のデメリットは、後処理をすべてPC上のソフトウェアに任せている点です。高速なGPUを複数枚搭載したゲーミングPC並みのコンピュータで、長時間レンダリングをしなければいけません。
例えば、DELL社ゲーミングPC Alienware17クラス(GPUを2枚搭載)で、10分の360°動画のレンダリングに1時間程度掛かったりします。GPUを搭載しないPCでは、10時間以上かかっても処理が終わらないほどです。
もう一点GoProのデメリットは、撮影時の各カメラの同期です。
6つのカメラが同期してはじめて意味のある映像が撮れますので、各カメラがWi-Fiリモコンに正確かつ同時に応答していることや、シャッターを切った枚数、バッテリーの残確認、Wi-Fi接続状況の確認などを常に気にしなければなりません。microSDカードやバッテリーの予備などの投資もかなりのものになります。(同じロット、容量のものを6台セットで買わなければならない)
※GoPro omniでは、複数台のGoProをMaster-Slaveで同期させ、電源供給の問題も解決されています。動画撮影時の各カメラのフレーム出しが自動化され、ポストプロダクションの効率化が図られています。
数々の不便や手間はあるものの、最高解像度でレンダリングした360°動画、360°静止画の美しさは、さすがにGoPro以外他のソリューションでは見当たりません。
当社の商談においても、THETA S、KeyMission 360、GoProのコンテンツを比較してお見せすると、すべてのお客様がGoProが良いとおっしゃいます。
ただし、当社で撮影やスティッチをしても、お客様自らが内製しても、最も時間も手間も掛かり、それなりのスキルを必要とするのが、このGoProによるソリューションです。
当社が考える業務で必要とされる"高精細"とは?
例えば
...というような、目視確認を代替できる解像度が求められます。
(0.2ミリクラックとか、目視点検の代用は無理です)
RICOH THETAがTHETA Sとなり、静止画の画素数UPと、長時間露光撮影に対応しました。
THETAは、以前から、静止画に限っては、本体内でのオートスティッチを可能にしており、撮影も"スマホからシャッターを押すだけ"で大変に使いやすい360°カメラです。
当社でも現場調査業務などで自社ツールとしても、コンテンツ制作用のカメラとしても大活躍しています。
意外に大事なのが外部USBから給電しながらの連続撮影ですが、この点もクリアできています。
360°動画については、解像度・画質共に良くなく、まだまだ業務で採用するには至っていません。
特に、THETA Sが他のカメラと異なる点は以下です。
光量の足りないところで、三脚を使った長時間露光をすると、かなり鮮明な画像が得られ驚きます。(シャッター速度:60秒、ISO:100-400)
手持ち撮影でも、例えば車のエンジンルームの中であれば、通常のシャッタースピードでもぶれずに撮影できます。(シャッター速度:1/15秒、ISO:100)
また、使い勝手の点でも、ここで紹介しているカメラのうち、Theta-Sだけが撮影中のパラメータ変更とリアルタイムのプレビューに対応しています。どのように撮れているのかをすぐに確認できることは、大変に助かります
THETA SとKeyMission 360の静止画を比較してみます。
ご覧の通り、遜色がありません。スペック上は、KeyMission 360が圧倒するのですが、画像を見る限り違いは見受けられません。Theta-Sの静止画はスペック以上にとても綺麗に見えます。オート時の適切なパラメータ設定ももちろんですが、ISO、WB、シャッタースピードなどをすべて、マニュアルで選択できるのも素晴らしい点です。
THETA S長時間露光で星空(シャッター:60秒、ISO:200)
Theta-S長時間露光で夜景を撮影(シャッター:60秒、ISO:100)
THETA S自動車のホイールからシャフトを撮影(シャッター:1/30秒、ISO:100)
THETA Sエンジンルーム内を自然光だけで撮影(シャッター:1/15秒、ISO:100)
カメラメーカーNikonが、満を持して昨年10月に発売した360アクションカメラが、KeyMission 360です。
予定より半年遅れ、さらに発売から3ヶ月を経過して、いよいよ"業務で使ってみようかなレベル"になりました。
この360°カメラの特徴は、なんと言っても360°動画を本体内部だけでリアルタイムスティッチする性能と、撮影された360°動画の美しさ。
360°動画の美しさは目を見張るほどでした。GoProで撮影した360°動画のレベルです。
特に、明暗の差が激しい場合でも比較的良く映っていることや、コントラストのはっきりした画質がGoodです。THETA Sの静止画と同等レベルの動画と感じました。
KeyMission 360°動画をGoPro VR Playerで再生する時のスクリーンショットサンプル
ですので、360動画を40分以内で撮りきる用途で、かつ、本体スイッチだけで録画/ストップすることをお奨めします。
※発売間もなく、ファームウェアやモバイルアプリケーションの出来が十分ではない可能性もあります。(2017/2/1現在)
※2 最近の撮影では、レース車載撮影で60分の録画が出来ました。現場で撮れているかどうかを確認するための、BluetoothやWi-Fiでの接続は相変わらずでした。(2017/9/11追記)
360°動画の美しさは前述の通りですが、実は動画の各フレームを静止画に切り出した360°パノラマの品質もなかなかおいしいです。
やり方は簡単、KeyMission 360で撮ったmp4をPCに転送し、PC上でjpegに切り出すだけ。切り出されたjpegは、Equirectangularの360°パノラマ写真(3840x2160)になっています。
お好きなようにKolor Eyes DesktopやらGoPro VR Playerなりで見ることが出来ます。
KeyMission 360°動画から切り出した静止画サンプル:
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