社員がゆく日本中部地方 おしゃれな地場産業施設へGO!

日本中部地方 おしゃれな地場産業施設へGO!

日本の文化財と言えば、和風住宅のイメージを思い浮かびますね。

伝統的な日本建築は、外国人の中でとても人気がありますが、近年、日本人若者が好むおしゃれな施設も日本中に増えつつあります。
その少し違うテイストのおかげで、日本の建築様式の中でも新しい要素ができて、文化の融合が感じられます。

そんな「少し違う」施設は中部地方にもたくさんあり、今回いくつかをピックアップして紹介したいと思います。
もちろん、どれも「日本の伝統文化」と少し関わりがあり、新しいインスピレーションをもたらすかもしれませんね。

多治見市モザイクタイルミュージアム

まずは多治見市モザイクタイルミュージアム。

県外の方は知らない人も多いですが、このミュージアムは割と新しくて、2016年できたばかりです。
できた後からよく観光雑誌に取り上げられていて、近年の話題のミュージアムとも言えるでしょう。

多治見市モザイクタイルミュージアム

いまは多治見市になっているこの区域は、元は土岐郡笠原町でした。最盛期の土岐郡笠原町には100以上のタイル工場が存在し、多治見生産量・シェアともに日本一でした。その個性をアピールする一環として、モザイクタイルミュージアムが建てられました。

絵本みたいなこの外観は日本の有名な建築家である藤森照信先生がデザインしたものです。タイルの原料を掘り出す採土場をモチーフにしているだそうです。
外壁には茶碗などの陶器の破片やタイルが埋め込まれていて、遠くから見るとモザイクタイルっぽいですね。

多治見市モザイクタイルミュージアム
多治見市モザイクタイルミュージアム

薄暗い大階段に登り、最初にたどり着いた4階は、「銭湯」っぽい異空間に多くのモザイクタイル壁画が貼られています。モザイクタイルの魂を良く表現できた、とてもインパクトのある展示室です。
余談ですが、京都で「嵯峨野湯」という銭湯をリノベーションしたカフェがあり、なんとなく雰囲気が似ていますので、興味がありましたらぜひ訪れてみてください。

多治見市モザイクタイルミュージアム
多治見市モザイクタイルミュージアム

多治見市モザイクタイルミュージアム

下の階では、モザイクタイルの製造工程や歴史もちゃんと学べ、体験工房やショップで自分の作品もデザインできます。
多治見の地域産業文化を身近で楽しく楽しめる施設です。

多治見市モザイクタイルミュージアム

セラミックパークMINO

同じく多治見市にある、陶磁器と触れあえるテーマパークのセラミックパークMINOも私にとって「何度でも行きたい」場所の一つです。

ここの特別なところは、敷地内の丘陵を活用し、谷や尾根などの自然地形を取り入れた散策路が作られています。四季を感じながら散歩や軽い運動ができる、自然環境と融合した素晴らしい施設です。

セラミックパークMINO

設計したのは2019年にプリツカー賞を受賞した磯崎新先生ん。
磯崎先生は近年に中国でも素晴らしい作品をいくつか設計しました。また機会があればぜひ紹介したいです。

セラミックパークMINO
セラミックパークMINO

「観光スポットとしても楽しめる美術館」というコンセプトで作られたセラミックパークMINOには岐阜県現代陶芸美術館、イベントホール、国際会議場などが入っていて、美濃焼の販売や陶芸体験もでき、陶器を身近に感じできる施設です。

岐阜県の東濃西部地域は長い陶磁器文化を持ち、日本一の陶磁器生産地として発展してきたので、その魅力をこのおしゃれな空間でゆっくり、たっぷり体験できます。

セラミックパークMINO

セラミックパークMINO
セラミックパークMINO

 

ラ コリーナ近江八幡

さて、話をモザイクタイルミュージアムをデザインした藤森照信先生に戻ります。
藤森先生が同じ時期に、近江八幡の「ラ コリーナ(La Collina)」という施設でも多くの建築を設計しました。

この複合施設は近江八幡市北之庄町に位置し、入口に潜りぬいた瞬間、里山と水郷の地に伝統建築でもよく出てくる草葺きが急に目の前に...ジブリの世界に迷いこんだと錯覚しそうになります。

ラ コリーナ近江八幡

ラ コリーナ近江八幡はミュージアムではなく、バームクーヘンが有名な「Club Harie」のグループ企業である滋賀県発祥の和菓子屋「たねや」が建てられたリゾート型商業施設です。自然に囲まれた広大な土地に、和・洋菓子のショップとレストランでゆっくり楽しめます。

ラ コリーナ近江八幡
ラ コリーナ近江八幡

2020年日本芸術院賞を受賞したメインショップの草屋根をはじめで、銅屋根(本社)と栗百本(工場兼店舗)など、個性な建物が中央の水田を囲み、風と土、稲と水、自然と人を繋ぐ素敵な空間です。

周囲の水郷や緑が生かされて、自然の恵みがお菓子になることを改めて実感できます。
ぜひここで日光と風、そして美味しいお菓子をたっぷり味わってみてください。

ラ コリーナ近江八幡

 

TOYAMAキラリ

中部地方として少し遠いですが、最後のおまけとしてピックアップしたいのは富山市のTOYAMAキラリです。

2015年オープンしたTOYAMAキラリは富山市立図書館本館、富山市ガラス美術館と富山第一銀行本店が入っている複合施設で、市民に親しまれています。

TOYAMAキラリ

TOYAMAキラリ
TOYAMAキラリ

館内の2階から6階までは「スパイラルボイド」と呼ばれる斜めの吹き抜け空間が連なっており、光が綺麗に差し込まれています。吹き抜け部分を取り囲んでいるルーバーは富山県産木材で、雄大な立山連峰を象徴しているようです。とても隈研吾先生らしい設計です。

TOYAMAキラリ
TOYAMAキラリ

製薬産業の歴史を持つ富山市は、明治以降の薬のガラス瓶工場をきっかけに、ガラス産業が盛んになった時期がありました。今は「ガラスの街」として再興するために、富山市ガラス美術館が作られています。中の展示物とともに、この個性的な複合施設も富山市のかけがえのない都市景観になり、今は人気な観光スポットとなっています。

近年、有名な建築家が作られたおしゃれな文化施設が日本中に増えつつあります。

多くの若者がその施設をきっかけに、地場産業に触れ合えました。伝統文化や伝統産業もその施設のおかげで、今までと違う入口、違う形でどんどん広めてきました。

歴史文化も「つまらない」「ダサい」からどんどん「おしゃれ」に生まれ変わり、今後の日本の流行りになるのでしょう。

▼この記事を書いたひと

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R&Dセンター 陸 依柳

撮影、お城、戦国、ICT、サブカルチャー...常に面白く、新しいものに惹かれるタイプです。地方の戦国イベントによく参加しています☆

 

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