成長戦略【Vol.4】ラズパイの配布でイノベーションの機運を盛り上げる

【Vol.4】ラズパイの配布でイノベーションの機運を盛り上げる

ラズパイ:RaspberryPi
Debian系Linuxで動作するシングルボードコンピュータで、豊富な電子工作用端子や4つのUSB、Wi-Fi、Bluietoothなどに対応しているため、センサーやカメラを活用したIoTの話題で良く出てくる。

 

作成日:2018/03/06

作成者:R&Dセンター 松井良行

技術戦略会議の活動紹介

AI(※1)、IoT(※2)、RPA(※3)、自動作図
何やら未来風な単語が並んでいます。
実は、これらは当社が技術戦略会議という活動の中で、エンジニアが集う分科会の名称です。

毎月2回開催され、分科会の活動報告や、部門をまたがった課題共有、成果の横展開などを目指しています。

これらのどれも、将来のナカシャクリエイテブを透視する、面白そうな分科会ですが、今回の記事ではIoT分科会とAI分科会の活動にクローズアップします。

 

ラズパイを選択する理由

テスト

IoTでセンサーを活用する、センサーの近くで処理をする、無線通信は必須、ディープラーニング(※4)に使えないか?

エッジヘヴィコンピューティング(※5)という言葉も気になります。 pythonもカメラもディープラーニングも、ラズパイなら行けちゃいますね。

・・・と言うわけで、ラズパイを教材にして、できる事を色々考えてみようじゃないかと決めました。

 

まずは買って試してみる


当社では、毎年、秋に複数の展示会へ出展します。「展示会でディープラーニングの参考出展をしよう。」
まずはラズパイの"3B"と"zero w"という2台のモデルを購入しました。

pythonもtensorflowも知らない素人が、ネットのリソースを漁り、keras+tensorflowを使って何とか"raspi cameraに写した動画から一般物体認識(※6)をする"デモを動かしました。

※展示会ではこのカメラで見たものの物体認識をするラズパイを、コアラのぬいぐるみの中に入れた、パイコアラを出展しました。

zero wの方は、みちびき(※7)対応のGPSセンサーを取り付け、簡単に正確な位置情報を取得できる事に驚きました。

なにより、オープンソース(※8)の情報の早さと、やりたいことは、調べれば出てくることに感激します。

この中にラズパイが
コアラ

 

ラズパイを18台一気買い


年末も差し迫った12月のある日、ラズパイがズラリ18セット届きます。

まず、コピー元とするmicroSDカードの準備から始めます。

手順を確認しながら、全員で、必要となりそうなパッケージやフレームワーク、ライブラリ、サンプルプログラムを仕込みます。
18台全てのコピーを完了したら、プラスチックの箱に詰め込みます。

新入社員のKさんが、導入のマニュアルを準備します。N主任はvirtualenv(※9)の仮想環境でデモプログラムの動作を確認し、Kさんに内容を伝えていきます。

ボックスの中身
NS-BOX

18セットのラズパイ
セット8台のラズパイ

 

ラズパイ配布&説明会


昨年12月22日、配布&利用説明会に参加するため、全15名の対象者のうち、 文化情報部、産業部、電力部、技術部の8名のエンジニアがそれぞれに時間を融通して参集しました。

今回の説明会では、ラズパイを自分の手で組み立てて、初期設定をし、pythonで動作するデモプログラムを実行してみるところまでがゴールとなっています。

新入社員のKさんが、講師を務めました。(ラズパイを触り始めてからわずか1ヶ月!)
参加者それぞれが、和気あいあいと、自分にプレゼントされたラズパイを組み立てていきます。

講義の様子
講義

組み立て
組み立て

自分でもラズパイ2から買って持っているという技師は、流石に手が早いです。

 

開発者も
開発者


さすがに、システム開発課のメンバーは、linuxコマンドやpythonに抵抗が無さそうです。

 

組み立て
組み立て

組み立て
組み立て


はじめて触る人も、周りに聞きながら、自分のラズパイを組み上げました。

 

完成
完成

完成
完成

なんとか全員が組み立てとwifi設定と初期の諸々の設定を終わった頃、とあるラズパイから機械音声が流れました。
一般物体認識(※9)をして発話する、あのプログラムの声です。

「おお!カメラで写したものを認識するんですね。」

皆が"ラズパイでできる事"の動く事例を認識した瞬間でした。

 

ラズパイから学ぶこと


わずか数千円、色々入れても2万五千円程度の、この小さなコンピュータから始まる事。
linux、python、センサー、ディープラーニング。 技術の習得にはそれなりに時間が掛かるでしょう。

しかし、期待するのは、

 

やりたい事を見つける第一歩
調べればやりたい事を誰かがすでにやっているオープンソースの凄さを感じること
願わくば、この活動をキッカケにして、当社にイノベーション(※10)が起こること。

今後の当社からのアウトプットに、どうかご期待下さい。



語彙の説明

※1 AI(Artificial Intelligence):人工知能。コンピュータによる知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野

※2 IoT(Internet of Things):モノのインターネット。PCや人だけではなく、家電、センサーなどあらゆるものをインターネットで接続し、情報交換により相互に制御する仕組み。

※3 RPA(Robotic Process Automation):ホワイトカラーの生産性向上、自動化のために導入されるソフトウェア。

※4 ディープラーニング(Deep Learning):人工知能の実現方法の一つ。人間の脳のニューラルネットワークを模した処理をプログラムでシミュレートし、データの差異部分(特徴量)を自動的に探し出すように機能する。

※5 一般物体認識:ディープラーニングを使って、映像データやカメラ映像から何が映っているのかを"一般的な名称(猫、人、コンピュータなど)"で認識する技術。

※6 エッジヘヴィコンピューティング:分散協調型のコンピュータ利用形態。IoTでセンサーデータが増える時代のコンピューティングアーキテクチャーとされ、PFN(プリファードネットワークス)、丸山 宏氏(現PFN)が提唱している。

※7 みちびき:準天頂衛星みちびき。日本で打ち上げた位置測位のための人工衛星。米国のGPSやロシアのGLONASSとの併用により、位置精度をセンチメートルまで高められるとして期待されている。

※8 オープンソース:コンピュータプログラムのソースコードをインターネット上の開発者に公開して、安定性や機能向上を図る開発プロセス。

※9 virtualenv:Linux上で動作する環境構築ソフトウェア。プログラミング言語Pythonとそのライブラリやディープラーニングフレームワークなどは、特定のバージョンでしか動作しない場合が多く、異なる動作環境を複数構築して、別のアプリケーションの動作に悪影響を及ぼさないように切り分ける必要がある。

※10 イノベーション:新結合(これまでにない組み合わせによって)内部に変化を起こすこと。技術革新や発明ではない。

 

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