2018年の第12回鎌刃城まつりに行きました!続100名城に選ばれた後の初訪問です。
2005年国史跡に指定され、更に去年4月から続100名城になって、鎌刃城もいよいよ世間に注目されてきました。これは地元の方が何十年もかけて調査・整備してきた成果です。
私が鎌刃城と出会ったのは2015年山城サミットの時で、初めて現地に行けたのは1年後の夏でした。ヒルと戦いながら、土の山を五感で感じたその思い出は今でも鮮明で、名古屋に引っ越したとたんにそんな素晴らしい山城と出会って、「ああ、近江の山城はやはり渋い!」と感激しました。
鎌刃城まつりも今年は12回目です。最初は山城マニア・歴史マニアが集まるイベントですが、近年いろいろな層が参加してきました。
ハードルが高いイベントだと思われるかもしれませんが、実に超楽しいまつりです!その「面白さ」を伝えたくてこの記事を書きました。
滋賀県米原市の標高384mの山城です。京都への街道を抑える要衝に位置しています。京極氏と六角氏の攻防や織田信長と浅井長政の攻防の舞台でした。戦国武将・堀氏の居城として湖北支配の拠点ともなりました。総石垣作りで、石垣、堀切、曲輪などが見事に残り、遺跡の規模は湖北でも最大級と言われています。
鎌刃城公式サイトもあります。地元の方が頑張って作ったサイトですのでぜひチェックしてみてください。
鎌刃城に行く時必ず通る宿場町は「番場宿」というところです。中山道の62番目の宿場です。
米原駅からバスも出ていますので、朝のバスで来て、トレッキングコースを歩いて、夕方のバスに戻ることもできます。
鎌刃城まつりは、いつもここの西番場公民館で開催されています。
朝9時前に会場に着きました。すでに人が集まってきました。早速受付を済ませました。
午前は滋賀県立大学教授中井先生の"鎌刃城跡コース"と米原市教育委員会の高橋先生の"松尾寺山砦跡・樋口西坂砦跡コース"の2コースの現地見学会がありますが、 30名限定の松尾寺山砦跡・樋口西坂砦跡に申し込みました。
久しぶりに鎌刃城にも行きたいですが、やはり「人数限定」に適わないですね。
時間があるのでちょっと近くに回ってきました。
県無形民俗文化財の「流星」も飾っています。
展示コーナーには、私が太尾山城跡のイベントに参加した時に撮影した写真を飾っていただきました!
鎌刃城に関連する面白いグッズも販売中です。夏に役立つ扇子と鎌刃城の日本酒。
そろそろ9時半になり、人も増えてきました。
杖を持ってくださいと薦められて、手ぶらでもバランスを取りやすいと思い小さな杖を頂きました。(杖を持っていくことが大正解!)
鎌刃城コースのグループが出発してから、われわれもバスに乗って移動しました。
ポスターに「健脚コース」「約3㎞」「高低差300m」と書かれて、更に経験豊富な高橋先生がリーダーですので、大変そうなコースとは覚悟の上ですが...
ここから入ると、道がどんどん険しくなって...
道端の丁石(一丁ごとに路傍に立て、道のりをしるした石)を見るのが醍醐味だと言われましたが、必死に山に登っていたため、鑑賞する余裕が全くなかったです。 「マムシだっっっ!」
松尾寺山の半腹にある咲地蔵です。
こんな天然石を活用する丁石もありますね。
いよいよ松尾寺山砦跡です。ここで脱落者1人。ヒル1匹、マムシ2匹と出会いました...なかなかハードなコースでした。
立派な堀切です。昔はもっと深いはずですね。
松尾寺山砦は誰が建てたか不明ですが、3本の堀切で尾根筋を切断する構造は今でも見えます。 この松尾寺山砦も樋口西坂砦も近年長谷川博美先生(北近江歴史研究会会長)との泉良之先生(番場の歴史を知り明日を考える会)が偶然に発見されたものです。
ここからちょっと足を延ばして、松尾寺山の展望台に行ってみました。きれいな眺めですね!
ここから樋口西坂砦に移動します。
まだまだ解明されていないものが多いですが、この二つの砦はやはり鎌刃城の支城と考えられますね。
おお、これは土橋じゃないですか!?
ここから降りることになるのですが、なんと!「道がないです」と言われました!
「えっ?道がない?これはコースじゃないですか!」・・・どうやら米原市の「健脚」のレベルは他の市と断トツに違いますね(笑)。
とにかく、滑りながら、木を捕まえながら降りてきました。登山に慣れていない私にとって、なかなか命がけの下山でした。
今回は高橋先生が降りながら木に印(赤い縄)を付けたので、これから多くの人が歩いたら、何年後ちゃんと道になるかもしれませんね... (私も道の開拓者になったか!)
降りて少し休憩して、お昼は郷土料理を頂きました。
地元のお水で点てたお茶もあります。
午後の部は中井先生の講演会ですが...人が公民館の廊下まで溢れてきました。さすがですね!
今回のテーマは鎌刃城にまつわる話です。続100名城に選ばれた時、「優れた文化財・史跡」「著名な歴史の舞台」「時代・地域の代表」の3つの基準があります。 実は先生たちが直接選ぶのではなく、その前に100名城に全部行った人から候補リストを挙げてもらったんです。要するに、そこで鎌刃城が入っていなかったら、 いくら学者から見て価値があっても、続100名城にはなれないだそうです。
さらに、今回続100名城に選ばれる城のなか、中世の城が多いです。 100名城の多くが近世の城、いわゆる建物がある城ですが、中世の城のほとんどは遺構です。初心者から中級に入る感じですね。
滋賀県は鎌刃城と八幡山城しか選ばれていなかったのも、滋賀県は優れた城跡が多く、100名城に入っている数が多いので、バランスを取るためだそうです。 (福井県と滋賀県に跨る、私が好きな玄蕃尾城も入っています)
今回は鎌刃城に行けなかったけど、2年前鎌刃城まつりの現地写真を使って、鎌刃城の魅力を見てみましょう。
因みに、私なりに「しっかりしている装備」で行ったと思いますが、地元の人に「こんな格好はあかん」と言われて...ガムテープでしっかり山ヒル対策してもらいました。( ガムテープを外す時1匹のヒルが落ちてきました。危ない危ない。)
右の写真は米原有名の「石垣団子」です。毎年鎌刃まつりに出てきます。とっても美味しいお団子で、しかも豆腐を使ったそうです!
鎌刃城は3つのルート(東番場コース、西番場コース、滝谷林道コース)がありますが、西番場コースは割となだらかな坂道ですので、そんなに疲れないですが、
雨の日にはやはりやや滑りやすく、ヒルと遭遇する可能性も高くなります。
40分間歩くとそれっぽい遺構が出てきました。
大堀切です。
大石垣です。さすが総石垣作りの城ですね。
北郭には地元の方が復元した見張り櫓風の展望台があります。当日は小雨の日ですが、景色がきれいですね。
もう少し進むと、更に一つの展望台があります。ここから琵琶湖も見えます!
いよいよ主郭に到着っ!ここは鎌刃城で一番有名の桝形虎口です。
因みに、続100名城のスタンプに登場したのもここです。
「第1回鎌刃城まつり記念」に参加者の名前も書かれています。
更に、鎌刃城有名なのは7つの堀切です。切り通しのある場所から副郭にかけては7条の堀切があり、非常に進みにくい地形です。
こんな感じです。
11月末の秋頃でも、のろし駅伝のイベントもやっています。これは一昨年太尾山城から撮影した鎌刃城ののろしです。
今回現地見学の時も、「もし遺構っぽいものを見つけたら、写真を撮って、位置を教育委員会に教えてください」と言われて、 「ええっ!?みんなよくもそんな山奥で散策するの?」とびっくりしました。
50年前、鎌刃城は山の中に眠っている城でした。米原の多くの遺構は、こんな感じで地元の方々が発見して、整備して、そして何十年の努力をかけた結果、 国の史跡になって、世の中に注目されました。
木を切り、道を作り、展望台を立てて...「番場の歴史を知り明日を考える会」のような地元の歴史を大事にして、そして後世に繋ぐ会の活動があるからこそできたことだと思います。
毎回「ここのルートはハードだ!」と思うけど、地元の人にとって、これは既に歩きやすいほうに違いませんね。
ここの歴史についても、地元の住民はみんな先生並に詳しく、面白い話しをたくさん聞けるので、米原に行くといつもわくわくします。
そんな鎌刃城まつり、来年も会場で待っています!
▼この記事を書いたひと
R&Dセンター 陸 依柳
撮影、お城、戦国、ICT、サブカルチャー...常に面白く、新しいものに惹かれるタイプです。地方の戦国イベントによく参加しています☆
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