そろそろ長いお盆休みに入りますので、今回は、やや長旅の山口県のお薦め歴史スポットをお届けします!
JR西日本ネット予約「e5489」でしか買えない
「やまぐち幕末ISHINきっぷ」をご存じでしょうか。
山口自由周遊区間までの往復新幹線普通車指定席と、自由周遊区間内のJR線(特急・普通列車普通車自由席)、
指定された路線バス3日間乗り放題と観光施設入場券がセットになった往復+フリータイプのきっぷです。
(特に体力に自信のある方にとっては)お値段的に「SUPERお得!」と、いつも周りに紹介しています。 ただし、2名以上しか使えないので、友達がいない人にとっては辛いかもしれないですが...
写真は参考として2019年度のものを引用していますが、毎年発売していると思います。
山口県と言えば、レンタカーを利用しようと思う方も多いと思います。私も一度使ったことがありますが、田んぼの中を延々と走るのは、精神的にも疲れますね...
「やまぐち幕末ISHINきっぷ」の一番素晴らしいところは、指定された路線バス乗り放題です!
特に萩までは新山口からのスーパー萩号が使えるので、かなり時間の節約になります。
更に、普段、車がないと行きにくい秋吉台国定公園も含まれていますので、それだけでも元が取れます!
唯一不便なのは、JR西日本区間内しか使えないので、新幹線が名古屋発着ではないことです。
まずは京都市内(新大阪駅)まで移動してから使いましょう。
今回はこの切符を使えば簡単に行ける歴史スポットを一緒に見てみましょう。
(実際私が行ったのは既に一年前のことです)
さて、新幹線で新下関に移動してから、まずは下関から。
下関を言ったら、まず思い出すのはフグでしょ!
さっそくフグのお粥を食べてから旅を始めます。
下関駅から出ると、維新の史跡が点在されています。
ここでは、詩を愛し、酒を愛し、三味線を愛する風流人である高杉晋作(「東行」という号もあります)が何回も登場します。
高杉晋作と言うと、「風流韻事」のイメージが強い(歴史ゲームの中もいつも飄々としたイケメン設定)ですが、幕末時代の長州藩の素晴らしい志士であり、奇兵隊などを創設し、 長州藩を倒幕に方向付けた偉大な歴史人物です!
イケメンかどうかは好みが分かれるところですが、現代になっても女子の中では人気抜群です。
少なくとも、高杉さんが書いた漢詩は、中国人の私から見ても言葉を失うほど素晴らしく、やはりどの時代でも「内面」が大事ですね~!
北方向に進むと、まず出会えるのは高杉東行終焉の地です。住宅街のど真ん中にあります...
厳島神社参道階段の横にあります。高杉晋作は功山寺で決起した後、ここを襲いました。
今は石碑と看板以外、特に残されているものがないですが...それと比べて、隣の居酒屋がもっと目を引きますね...
落花斜日恨無窮 落花斜日恨み窮まりなし
自愧残骸泣晩風 自ら愧ず残骸晩風に泣く
休怪移家華表下 怪しむをやめよ家を華表の下に移すを
暮朝欲拂廟前紅 暮朝廟前の紅をはらわんと欲す
病気療養のため白石家からここに移ってきた高杉晋作はこんな詩を残しました。 題は「桜山七絶」、副書きは「時に予、家を桜山の下に移す」。
旅の中で出会える高杉晋作の才気あふれる漢詩がたくさんあります。時には美しく、時には感傷溢れます。心打たれる文字ばかりです。
東行高杉晋作の発議により築いた殉国の志士の神霊を祀る招魂場です。
ここは奇兵隊の調練場跡でもあり、招魂場となって以後、桜を植えたことから、桜山と呼ばれるようになりました。
下関市内の数多い維新史跡の中でも、重要な意味をもつ聖地だそうです。
ここにも高杉晋作の漢詩が記されています。
猛烈奇兵何所志
要将一死報邦家
尤欣名遂功成後
共作弔魂場上花
「共に弔魂場上の花とならん」と、命が散った時の美しさを感じられますね。
この招魂場は偉大な指導者吉田松陰から奇兵隊小者弥吉といった名もない者にいたるまで、等しく祀られているので、
身分制を越えた新しい時代への理念を表しています。
現在は昭和時代追加した山縣有朋等も含み、神霊391柱が立ち並んでいます。
高杉晋作が功山寺に決起した後、萩藩新地会所を襲撃制圧した時、この高台にある了円寺は一時的に屯所になっていました。
今は静かなお寺ですが、本堂にはその時の刀の傷が残っているようです。
想像よりも小規模で、少々驚きましたね。
狭い路地を潜ると、関門海峡が目の前に現れます。
前回来た時は暴風雨の時だったので、晴れる関門海峡はなんという愛おしい姿っ!
ここには関門海峡を見守っている高杉晋作の像が立っています。関門海峡、門司、巌流島...雄大な景色が目の前に広がります。
さて、下関の駅周辺を巡った後、JR小月駅まで乗り、サンデンバス秋芳洞方面行きで「東行庵入口」で降りたら、 高杉ファンならお馴染みの東行庵があります。
途中に、「東行橋」「晋作橋」と出会えました。その橋はあんまり歴史と関わりがありませんが、名前だけでも思いを感じ、胸が熱くなりますね。
ここは最初は晋作の盟友である山縣有朋の「無隣庵」しかなかったですが、旧藩主毛利元昭をはじめ伊藤博文・井上馨等の寄付で、新たに「東行庵」も建てられました。
庵内の仏壇には高杉晋作と共に山縣有朋の位牌も安置されています。
2月は梅、4月は桜、6月は菖蒲、11月は紅葉...ここの庭園は季節ごとに美しい景色を楽しめます。
資料館には高杉晋作と奇兵隊の活躍と偉業が展示されています。
境内の奥には東行墓。激しい生を得た高杉晋作も、今は静かに眠っているようですね。
山縣有朋の銅像も揃えています。
次は明治維新ゆかりの人物を数多く輩出した萩市を見に行きましょう。
歴史舞台に大きな役割を果たしている萩市は長州藩ゆかりの地だけでなかく、戦国時代の関ヶ原の戦いで西軍の総大将を務めた毛利輝元が再起を図った場所でもあります。 武家屋敷と城下町も世界遺産になり、実に面白い町です。
萩へのアクセスはJR新山口駅の北口から高速バス『スーパーはぎ号』に乗るのが一番便利です。
一日8往復あり、1時間で萩に着きます。
時刻表はこちらへ
萩市のスポットが多いですが、迷う方は観光協会のモデルコースでも参考してください。
町を知るのは、博物館からが一番ですね。
この武家屋敷風建築が特徴の歴史博物館には幕末維新関連の実物資料たくさん展示されています。
萩は夏みかんの聖地ですので、ここの夏みかん製品もぜひ味わってください!
私が行った時に飾っている「長州ファイブ」のパネル...皆さんのポーズがアイドル風!
真ん中に座ると、イケメンに囲まれたお姫様みたいになりますね...(写真を撮られる時にポーズに困っている男性の方はぜひ参考してください)
1839年に生誕した高杉晋作の誕生地。公開されているのは南側半分だけですが、出産の際に産湯に用いたと言われる井戸や自作の句碑があります。
木戸孝允(桂小五郎)の生家です。
木戸孝允は城下藩医和田家の長男として生まれたので、藩医の家はそういうものだと想像できる素敵な空間ですね。
伊藤博文が読み書きを習い、幼少期の高杉晋作が遊んでいたという逸話が残る真言宗御室派の寺院です。
せっかく萩まで行ったら、ぜひ見逃さないでほしいのは日本100名城の萩城です。
幕末よりかなり前の時代の話になりますが、中国地方8か国112万石を領有する毛利輝元が関ヶ原の戦いで敗れた後所領が没収され、周防・長門36万9000石として移封されました。 慶長9年(1604)に居城を萩城に決め、萩城の築城しました。
のちの長州藩は250年余りの間、ここを本拠地にしていたので、「萩藩」とも呼ばれています。
平城とは言え、指月山山頂に中世山城よくある詰め城があり、更に海に囲まれているので、非常に特徴がある面白い構造です。 輝元もここで再起を図ったのでしょうか。
さて、続いては城下町から循環バスに乗り、旧松本村辺りのスポットに行ってみましょう。
まずは学問の神様である吉田松陰を祀る松陰神社です。何か勉強する予定があったらぜひここで合格祈願してみましょう!
境内には、松下村塾や吉田松陰幽囚ノ旧宅など、松陰ゆかりの史跡などがあります。
高杉晋作や伊藤博文などの偉人がここで育てられましたね。
高台にある吉田松陰の誕生地は市内を一望できる一押しスポットです。
ここには吉田松陰の遺髪が埋葬されている墓や高杉晋作の墓があります。墓参りとして不可欠な所ですね。
最後に紹介したい山口市、ここは大内や毛利時代から明治維新まで豊かな歴史が残されているので、歴史に全く興味がない人でも楽しめる町です。
幕末スポットも多いですが、他の時代の歴史スポットも合わせて巡りましょう。
まずは一駅離れている湯田温泉。
温泉好きなら絶対見逃さないところですが、温泉があるので、歴史事件の中でもよく登場しますね。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」で坂本竜馬が湯田温泉で始めて温泉に入浴したという記載もあります。竜馬と同じ湯に入れると思うと、ちょっとワクワクしませんか。
湯田温泉の「長州藩茶屋臨野堂跡」という場所は、今は石碑しかないですが、江戸時代の中頃に藩主などの湯治のために作られた施設がここにあったそうです。
更に、松田屋温泉ホテルの中庭には「西郷・木戸・大久保会見所」という場所があります。ここで集い、密議したのですね。 もしかして、維新の志士たちもここに入浴したかもしれません?
駅に離れていますが、高台にある木戸公園は紅葉も眺望もきれいな場所です。
ここには「木戸神社」という木戸孝允にまつわる神社です。
「観光スポット」としてはやや物足りないですが、歴史ファンなら一度寄ってもいいと思います。
隣には「木戸孝允旧邸跡」という石碑も。
こちらも石碑と看板しかなくがっかりするかもしれないですが...歴史旅は想像に頼ることも多いです。
薩摩藩の西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀らが山口を訪れた時泊まった枕流亭。
ここで、彼らが長州藩の木戸孝允、伊藤博文、広沢真臣らと薩長の連携に向けて密談を重ねました。
現在の香山公園にある枕流亭は移築してきたものですが、中の無料展示を見ながら、当時の雰囲気をたっぷり味わえます。
せっかく香山公園まで来たら、隣の1471年に陶弘房の弔いのために創建された曹洞宗の瑠璃光寺と五重塔も見てみましょう。
特にこの五重塔は、京都の醍醐寺、奈良の法隆寺とともに日本の三大名塔と呼ばれています。
更に、ここには毛利家の墓所もあります。
参拝後ぜひ体験していただきたいのは「うぐいす張りの石畳」です。ここで手を叩くと不思議な音が聞こえます。
元亀3年(1572年)建てられた毛利家の菩提寺で、山門と観音堂が国の重要文化財です。
ここの住職は変な人かと思い、ビビりながら御朱印をもらいに行ったら、この「マル住職」は一匹の紀州犬です!もちろん、噛みつきはしないようです。
薩長同盟の時、ここで会議を開かれたという話もあります。
幕末の長州藩主・毛利敬親が藩庁を山口に移した時に「山口政事堂」という最新型の西洋式城郭を作りました。 その表門が今でもきれいに残されています。
山口県政の歴史を学べるレトロな施設です。
維新の歴史だけではなく、県内の自然、動物、産業などあらゆるものを体験できる施設です。
井上馨や佐藤栄作など著名人の扁額29枚が飾られている市民施設です。
著名人たちの書を鑑賞しながら、それぞれの個性と人間像を想像するのが楽しいですね。
疲れたらぜひここで一息しましょう。
豊榮神社は毛利元就を、野田神社は毛利敬親と養子の毛利元徳をお祀りしている神社です。
雰囲気がよくて、武家屋敷風な雰囲気をたっぷり感じられるところです。
大内教弘が築いた別邸である築山屋形があった場所です。
石碑しかないですが、史跡大内氏遺跡附凌雲寺跡(公共交通では行けないため、ここでは紹介していないですが、超おすすめです!)とセットで見学すると、 大内氏の当時の栄華極まりが想像できます。
今は大内義隆の菩提を弔う龍福寺の中にあります。
大内氏24代弘世から歴代の当主はここで政務をとり、 山口もそのおかげで京都をしのぐほどの富みと文化を持ち、約200年間西日本の政治の中心地となりました。
当時人質になった毛利元就の息子である隆元もここに大きな影響を受け、のちの長州藩にも影響を与えている史跡とも言えるのでしょう。
せっかく山口県まで来て(乗り放題の切符があれば尚更ですが)ついでに行けそうなお薦めスポットも見に行きましょう。
まずはさだまさしの名曲「案山子」で歌われる舞台としても知られている津和野城です。こちらも日本100名城の一つ(山口県ではなく、島根県になっていますが)。
なかなかアクセスしにくい場所ですが、電車にゆったりと乗る時間があれば、ぜひ寄ってみましょう。城下町も情緒があり、日本の歴史風情を満喫できる場所です。
体力に自信がない方は、観光リフトを選べばすぐ頂上へいけます。山頂に残されている石垣も立派だし、眺める風景も忘れられないほどインパクトがあります。
(私が行った時は高熱が出て、友人に担がれながら巡ったので、生涯忘れられない所ですね...まぁ、例え倒れても行きたいと思うほど素晴らしいお城です!)
バスで簡単に行ける秋吉台国定公園は日本最大のカルスト台地です。ゆっくり散策しながら自然を楽しめます。
インスタ映えばっちりの元乃隅神社は2015年にアメリカの放送局CNNで「日本の最も美しい場所31選」にも選出されています。 123基の鳥居に潜りながら海風を感じられます。
少々アクセスが悪いですが、レンタカーとの組み合わせが良いかもしれません。
日本の橋ランキングトップクラスの角島大橋は晴天時ならぜひ訪ねてみてください。
電車とバスの組み合わせでも行けますが、元乃隅神社と合わせてレンタカーで巡ることをお薦めします。
あいにく、私が行った時は曇っていました。同じく評判が良い沖縄の古宇利大橋に行った時も曇ったので、 美しさが減ったとはいえ、インパクトがある橋ですね。
最後のしめは、ぜひ山口県下関市豊浦町発祥の麺料理である「瓦そば」を味わってください!
(山口県内なら大体どこでも見つけると思います。私は旅の中で(なぜか知らないが)毎日それを食べていたような気がします。)
この料理は西南戦争の際に熊本城を囲む薩摩軍の兵士たちが野戦の合間に瓦を使って野草肉などを焼いて食べたと言う話から生まれた料理です。
歴史の味もきっと味わえるでしょうっ!
▼この記事を書いたひと
R&Dセンター 陸 依柳
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